クワイと豚バラ肉の煮込み

Categories 香港味探検
Tags ,

 

 旧正月は、いかがお過ごしでしたでしょうか。香港の郊外にある我が家にもたくさんの来客があり、楽しいひと時を過ごしました。

 香港の都市部に暮らす人たちにとって、我が家周辺は珍しいものが多いらしく、料理好きの香港人の友人を街市(市場)に案内したところ、野菜が新鮮だ、種類が豊富だ、と目を輝かせ、そして「あっ、沙菇(サーグー)がある! これは珍しい!」と、ある野菜を手に取りました。どれどれと見てみると、これは…ちょっと大きめではありますが、日本のクワイではありませんか?

 日本では、縁起物として正月のおせち料理に欠かせないクワイ。しかし逆に言えば、おせち以外で目にする機会が少なく、しかも香港に長年住んでいる私にとって、クワイと言えば、梨のように甘くてサクサクした、生でも食べられる馬蹄(マータイ)の方。そうか、香港でも日本のクワイが手に入るのですね。

 あらためて説明すると、馬蹄というのは、カヤツリグサ科のオオグロクワイというもので、沙菇、つまり日本のクワイは、オモダカ科のクワイ。日本語だと両方ともクワイなので混乱しますが、香港では、馬蹄と沙菇は全く別の野菜として認識されているようです。

 街市では沙菇の表記で売られていましたが、芽菇(ンガーグー)とも言うそうです。友人の反応を見ると希少な食材という印象ですが、街市の店の人に食べ方を尋ねたら、「アンタ、沙菇を料理したことがないの?」とたいそう驚かれたので、香港でも田舎の方ではよく食べられているのかもしれません。

 調理法としては、豚肉と一緒に煮こむのが一般的なようです。特筆すべきなのは、包丁で切るのではなく、叩く、ということ。

 水洗いした後、芽と根の部分を切り落とし(芽が出る=縁起物、という日本的な発想はないようです)、皮をむいてから、飛び散りを防ぐためにラップをかぶせるか、ビニール袋に入れ、包丁の腹か峰の部分を使って叩き、二つに割ります。力を入れすぎると粉々になってしまうので、要注意。叩き割ることで、味がよく染みるだけでなく、食べたときに、口の中でホロッと崩れやすくなります。香港人は、沙菇の、芋のような、栗のような、さっくりホロホロとした食感を楽しむのだそうです。

 クワイの持ち味を殺さぬよう、ごく薄味に煮る日本料理と異なり、こってりと煮付ける香港式のクワイの煮物。どんな風に仕上がるのか心配でしたが、クワイのほろ苦さは残っており、一緒に入れた中国セロリ(芹菜/カンチョイ)とも相性がよく、さわやかな早春の味がちゃんとします。豚バラ肉が入っているのでボリュームもあり、お総菜としてもぴったり。さわやかとこってりが絶妙なバランスで、意外なおいしさのひと皿になりました(2012.2.4掲載)。

<沙菇炆腩肉 クワイと豚バラ肉の煮込み>

材料(4人前):

クワイ 400g
皮付き豚バラ肉(1センチ幅に切る) 200g
しょうが(うす切り) 5g
にんにく(うす切り) 1個
紹興酒 大さじ1
A水 500cc
 砂糖 大さじ2
 しょうゆ 大さじ2
 色づけしょうゆ(老抽/ロウチャウ) 小さじ1
 塩 小さじ1/3
シイタケ(半分に切る) 5個
中国セロリ(5センチ長さに切る) 30g
油 少々 

作り方:

1.鍋に湯(分量外)を沸かし、豚バラ肉を3分間ゆでたら、取り出しておく。
2.煮込み用の鍋に油を熱し、しょうがとにんにくを炒め、いい香りがしてきたら豚バラ肉を加え、肉から脂がにじみ出るようにじっくりと炒める。
3.豚肉に焼き色がついたら、紹興酒を加え、さらにAを加えて、弱火で約20分間煮込む。
4.クワイの皮をむき、包丁で割ったら(本文参照)、シイタケと共に3の鍋に入れ、さらに約20分煮る。
5.クワイが柔らかくなったら、中国セロリを加え、火を強めて、煮汁がごく少なくなるまで煮詰める。味を見て、必要ならばしょうゆを少量足し味を整え、火から下ろして、できあがり。

Comments are closed.