ロースト子豚の頭入りお粥

Categories 香港味探検
0
Tags ,

 

 先日、夫のいとこの結婚披露宴がありました。場所は上海料理レストランと聞き、一体どんな料理がでてくるのか興味津々で行ったのですが、でてきたのは完全に広東式の宴会料理。やはりここは香港、こうしたあらたまった席では、若い二人も、伝統や形式を重んじるということでしょうか。

 広東式の宴会料理は、必ず子豚の丸焼きから始まります。今回も、きつね色に焼かれた子豚が、目にはめ込まれた赤い豆電球をピカピカさせながら、次々と各テーブルに運ばれてきました。華やかな演出に、子供は大興奮、大人もこれから始まるご馳走づくしに胸が躍ります。

 香港では、祝いの席に豚の丸焼きは欠かせません。婚礼だけなく、墓参り、新装開店、映画撮影のクランクイン時など、人々の無事と成功を祈願する場には、必ず豚の丸焼きが登場します。香港人にとって、豚は富の象徴であり、多産多幸の縁起ものとされているのです。

 また、昔の香港には、結婚して嫁いだ娘が里帰りするときに、夫の家が手みやげに豚の丸焼きを持たせる、という習慣がありました。広東語の「豚(猪/ジュー)」の発音が「処(チュー)」に似ている事から、豚は処女の隠語とされ、この風習には「処女を嫁がせてくれてありがとう」という意味があるのだそう。今では廃れてしまった風習ですが、現在でも披露宴に豚の丸焼きが欠かせないのは、豚が処女性の象徴でもあることと関係している、という説もあります。そう言われると、婚礼の席にでてくるのが、生後数ヶ月の、まだミルクしか飲んでいない子豚(乳猪/ユーチュー)というのもわかる気がします。

 赤ちゃん豚を食べるなんて残酷な、と初めは誰しも思うのですが、サクサク、カリカリとした歯触りの皮と、その下にある甘い脂身、とろけるように柔らかな肉は、子豚ならでは。その切り身を薄い蒸しパンに乗せて、甘みそを付けて食べれば後を引くおいしさで、ついつい、良心の痛みが食欲に負けてしまいます。

 こうした宴会の席では、給仕係が料理をサーブしてくれます。各自の皿に盛りつけた後、頭の部分は下げられてしまうのですが、「持ち帰りたい」と言うと、どのレストランでも、快く包んで渡してくれます。

 うちの夫はこの子豚の頭が好物で、いつもは家のオーブンで温め直し、キッチンばさみを使って皮の部分を切り取り、甘みそを付けて食すのですが、今回、同席した人に「お粥に入れるとおいしいよ」と教えられ、試してみることにしました。

 子豚の頭は、一度熱湯で湯がいて余分な脂を取り除いてから、米と一緒に炊いていきます。ロースト肉特有の香ばしさと肉にすり込んであるスパイスの香りがほんのり漂い、骨から出るダシと、 溶け出した脂肪のせいで、想像以上に濃厚な味です。今回は長ねぎだけでしたが、レタスのせん切りを加えてもいいかもしれません。

 しばらく宴会に出る予定がない、という人は、ロースト肉屋(焼味舗/シウメイポウ)へ行ってみましょう。親豚のロースト(焼肉/シウヨッ)と違い、子豚は必ずしもいつもあるとは限りませんが、尋ねてみる価値はあると思います。(2011.10.1掲載)

<烤乳猪頭粥  ロースト子豚の頭入りお粥>

材料(4人分):

ローストされた子豚の頭 1個(約400g)
米 1/2カップ
水 2リットル
しょうが(せん切り) 10g
塩 少々
長ねぎ(小口切り) 少々

作り方:

1.子豚の頭は、中華包丁を使って、適当な大きさに切る。焦げている部分は切り取る。
2.鍋に湯(分量外)を沸かし、子豚の頭を入れ、3分間ゆでたら取り出し、水で洗う。
3.煮込み用鍋に水を沸かし、子豚の頭、米、しょうがを入れ、米が常に踊る程度の弱火で1時間煮る(途中、鍋の底に焦げ付かないよう、時々かき混ぜる)。
4.塩で味を整え、碗によそって、長ねぎを散らしたらできあがり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>