鶏の紹興酒煮

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 中国語には「補身」という言葉があります。人間は恒温動物なので、冬は体温を保つために体内のエネルギーをたくさん消費します。体力が充分に備わっていれば問題ないでしょうが、そうでなければ、燃料切れになって、体調を崩したり、病気になってしまいます。そうならないように、食べものでエネルギーを補給しようという考え、それが「補身」であり、そうした食べものを「補品」と呼びます。

 今日の料理も、そんな補品のひとつ。実はこれはもともと、出産を終えたばかりの女性が食べるものだそうですが、今の季節は性別問わず、寒さに負けたくない人にぴったりの食べものです。

 鶏を丸ごと1羽、たっぷりの酒で煮た「鶏酒」。香港では、鶏肉はたいへん滋養があると考えられており、ドラッグストアには、鶏肉のエキスを凝縮させた「鶏精」という栄養ドリンクが売られているほどです。

 本当は活き鶏を使うのが理想的ですが、鳥インフルエンザの影響で、今ではそれも難しくなりました。それでも街市(市場)の鶏肉専門店へ行って、店の人に「鶏酒を作る」と言えば、冷蔵の鶏の中から適当な1羽を選び、皮をはいで、ちょうどよい大きさに切ってくれるので助かります。

 鶏と一緒に煮るのは、補血作用があり、血をきれいにするという紅ナツメ(紅棗=ホンジョウ)とキクラゲ(木耳=モッイー)、そして、身体を温め血行を促進するショウガ(薑=ギョーン)。これが鶏酒の基本で、さらに、クコの実など他の漢方薬材を加えたり、米を一緒に煮てボリュームを出すレシピなどもあるようです。

 ベースとなる中国酒は、もち米に麹を加えて発酵させた「黄酒」に分類される醸造酒で、日本人にもなじみ深い「紹興酒」は、浙江省紹興市近郊で作られる黄酒のひとつに過ぎません。しかし香港で手軽に入手できる黄酒といえばやはり紹興酒なので、ここでは紹興酒の名称を使うことにします。

 香港のスーパーに並ぶ紹興酒のラベルには、「花彫」「陳年」「加飯」などと書かれています。「花彫」というのは、花の彫りものを施したかめで寝かせた紹興酒のこと、「陳年」は「年を経た、年代物」の紹興酒、「加飯」は、基本的な黄酒にもち米と麹を増量して3年以上熟成させた紹興酒、という意味です。紹興酒には必須アミノ酸が豊富に含まれており、疲労回復にもよく効くそうです。

 鶏酒はスープではないので、長時間煮込む必要はありませんが、もしもお酒の強い味が苦手ならば、1時間くらい煮込んだ方が、味が柔らかくなって、飲みやすいかと思います。 酒と水の割合は1対1が目安ですが、酒の量はお好みで。水を一切使わず、酒だけで煮るレシピもあるようです。

 なお、始めに記したように、本来これはお産を終えたばかりの女性のための補品です。煮込むことでかなりのアルコール分は蒸発していますが、念のため、授乳中の方は、鶏酒を飲んだ後、数時間経ってから授乳するようにした方がよいでしょう。(2014.1.18掲載)


<鶏酒 鶏の紹興酒煮>

材料(4人分):

鶏肉(皮をむいて、一口大に切ったもの) 1羽(約700g)
キクラゲ(乾燥したもの) 30g
ショウガ(皮をむいて、うす切り) 80g
紅ナツメ(たね無し) 60g
紹興酒 700cc
水 700cc
塩 少々
油 少々

作り方:

1.鶏肉は水洗いし、黄色い脂肪をよく取り除いたら、水気をよくきっておく。
2.キクラゲはたっぷりの水に浸し、やわらかくなったら石づきを取り除き、1.5センチ幅に切っておく。

3.鍋に油を熱しショウガを炒め、いい香りがしてきたら鶏肉を加えて、さらによく炒める。

4.鶏肉が薄く色づいてきたら、火を弱め、紹興酒と水を加える(火力が強いと蒸発したアルコールに引火する場合があるので要注意。炎が上がったら、すぐにふたをすること)。

5.紅ナツメとキクラゲも加え、ふたをして、弱めの中火で30分間煮る。

6.塩で味を整え、火から下ろして、できあがり。

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