ビーツとキノコの精進スープ

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 今回は動物性タンパク質を一切使わない、さっぱりとした、それでいて大変味わい深いスープです。

 味の決め手は、ビーツ(紅菜頭/ホンチョイタウ)と乾燥キノコ。 ビーツはサトウダイコンの変種で、見た目は大きなカブのようです。外皮は茶色ですが、中は鮮やかな赤紫色をしています。ロシアや東欧のボルシチには欠かせない野菜で、ご存知の方も多いでしょう。やや土臭く、ほんのりとした甘みがあり、おおらかで素朴な味わいの根菜です。

 「赤い色の食べ物には補血効果がある」というのは中国医学での定説ですが、ビーツも例外ではなく、ビタミンやカリウム、リン、鉄などさまざまな栄養素を豊富に含んでいることが科学的にも証明されています。欧米ではビーツを「飲む輸血」「食べる血液」とも呼ぶほどで、そんな栄養たっぷりのビーツを香港人がスープに活用しないわけがありません。

 鮮やかな赤紫色は水に溶け出しやすいので、色を保つため、皮付きのまま丸ごと下ゆでしてから調理するのが一般的ですが、香港人にとっては栄養が溶け出したスープこそが命なので、生のまま皮をむき、ざくざくと切って最初から煮込んでしまいます。しかし、色が抜けたビーツや、長時間煮込むせいで色あせてくるスープの水色が残念に思えるので、今回は軽く下ゆでした後スープに入れる方法にしてみました。これならビーツの色も鮮やかなままですし、なにより皮をむくのが簡単です。

 そもそもこのスープを作ろうと思ったきっかけは、市販品のビーツとキノコのスープを飲み、そのすっきりとした味わいに感心し、自分でも作ってみたいと思ったからでした。 そのスープに入っていた猴頭菇(ハウタウグー/ヤマブシタケ)と姫松茸(ゲイチョンヨン/ヒメマツタケ)を街市(市場)に買いに行ったところ、乾物屋の店の人に「キノコのスープを作るならこれがよい」と乾燥キノコを数種類詰め合わせたものを薦められました。乾燥キノコはスープの材料によく使われるので、こういうセットがあるのです。猴頭菇と姫松茸の他、茶樹菇(チャーシューグー/ヤナギマツタケ)や灰樹花(フイシューファー/マイタケ)が入っていました。干しシイタケでもよいそうです。より多くのキノコを混ぜた方が、うまみが複雑になるのでしょう。

 ビーツの甘さを補う役目として、ニンジンや蜜棗(マッジョウ/砂糖漬けのナツメ)を加えるのも、このスープのおいしさの秘訣です。これらの自然な甘みが、ビーツの風味を引き立ててくれます。

 たっぷりのキノコのせいでしょうか。かすかに感じるえぐみが野性的でもあり、うっそうとした森が広がる大地を思わせるような野趣あふれるスープになりました。 写真には猴頭菇と茶樹菇が写っていますが、ダシは出きっているので、スープだけを味わっていただければ充分です。(2012.11.3掲載)

<紅菜頭雑菇素湯 ビーツとキノコの精進スープ>

材料(4人前):

ビーツ(皮つき。茎を3センチ程度残したもの) 大2個(約800g)
乾燥キノコ(数種類混ぜて) 80g
蜜棗 5個
ニンジン(皮をむいて乱切り) 300g
陳皮(3センチ四方) 1片
水 2リットル
塩 少々

作り方:

1.深鍋に塩と酢を少量加えた水(分量外)とビーツを入れて火にかけ、ビーツを20分間ゆで、汁につけたまま冷ましておく。
2.乾燥キノコと陳皮は軽く水洗いしてから、別々の水(分量外)に15分程度浸し、柔らかくしておく。
3.深鍋に水とニンジンを入れ火にかけ、沸騰したら水気を切った乾燥キノコと陳皮、蜜棗を入れ、弱火で1時間半煮る。
4.ビーツの皮をむき、1センチ幅の一口大に切って、3の鍋に入れ、30〜40分煮る。
5.ビーツが柔らかくなったら、塩で味を整え、碗に盛りつけ、できあがり。

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