揚げ魚の甘露煮風

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 今回は上海料理です。

 「燻魚」「薫魚」「熏魚」と表記はいろいろですが、広東語の発音は「ファンユー」、揚げた魚を甘辛いタレに漬け込んだ料理で、香港でもよく知られている上海料理のひとつです。

 私が燻魚を初めて食べたのは10数年前で、以来、ずっとここで燻魚を紹介することは頭にあったのですが、今日まで時間がかかったのは、ひとえに、おいしいと思える燻魚に出会えなかったから。

 燻魚は、薄く切った魚を燻したり揚げたりして、水分を飛ばしてから調理します。いわば干物に近い状態の魚を甘露煮にしたようなもので、うちの上海系香港人である夫は、その「かみしめながら食べる」感じが好きらしいのですが、私は、燻魚は固いし小骨が多いし、味よりもその食べにくさが苦手でした。

 しかし先日、香港人の友人宅で出された燻魚は、身がしっとりとしていて、まさに私が求めていた燻魚そのもの。実はその友人も固い燻魚が好きではないそうで、こういう燻魚なら今すぐにでも紹介したい、と今回の登場となりました。

 燻魚は、その字からも分かるように、本来は燻して作りますが、家庭では難しいので、しっかり素揚げして水分を飛ばしてから、香りのよいタレに浸けることがほとんどのようです。味がよく染みた方がおいしいので、前日から作り始め、冷蔵庫で保存します。

 そもそも燻魚は冷菜のひとつ。中国人は冷たいものを食べる習慣がない、と思い込んでいましたが、上海人の義伯母によると、冷えた食べものを嫌うのは主に広東人で、上海人はあまり気にしない、とのこと。確かに上海料理は冷菜の種類が豊富です。

 燻魚に使う魚は特に決まりはなく、手に入るものなら何でもよいそう。今回は、香港で最もポピュラーな淡水魚の鯇魚(ワーンユー)を使いました。大型魚なので、ある程度の大きさに解体されて売られています。それを中華包丁で切るのですが、骨が固いので、店の人に頼めるなら切ってもらう方がいいかもしれません。

 魚は、多めの油で揚げ焼きする要領で素揚げにします。身が崩れやすいので、フライパンに入れたら、焦げないように火を少し弱め、表面が固まるまでは、しばらく触らないようにします。全体が濃いきつね色になり、身が引き締まってきたような感じになったら火から下ろします。

 漬け込むタレは、「薫魚」の名にふさわしく香りよく仕上がるよう、家庭ごとに秘訣があるようです。今回は鎮江香醋(ジャンゴンヒョンチョウ/上海の黒酢)を隠し味として使いました。あくまでも黒酢の持つ複雑なうまみを足すのが目的なので、酸っぱくなるほどは入れません。また、魚の下味に魚露(ユーロウ/魚醤)を使ったのも、私の工夫です。

 しっかり揚げて味つけした燻魚は、冷蔵庫に入れておけば日持ちするので常備食になりますし、お弁当にも便利です。魚やタレを工夫すれば、さまざまな燻魚ができるので、ぜひお試しください。(2013.1.12掲載)

<上海燻魚 揚げ魚の甘露煮風>

材料(4人前):

鯇魚 450g
魚露 大さじ1/2
紹興酒 大さじ1
Aしょうゆ 40cc
 紹興酒 30cc
 老抽(ロウチャウ/色づけしょうゆ) 大さじ1/2
 砂糖 大さじ2
 鎮江香醋  大さじ1
 ショウガ(薄切り) 1片
 青ネギ(10センチ) 1本
 八角 1/2個
油 適量

作り方:

1.鯇魚は中華包丁で1.5センチ厚さに切り、魚露と紹興酒で下味をつける(冷蔵庫に1時間以上置く)。
2.鍋にAを全て入れ、弱火にかけ、ひと煮立ちさせる。
3.フライパンに多めの油を入れ、キッチンペーパーで水気をふき取った鯇魚を中火で揚げ焼きする。
4.鯇魚が濃いきつね色になったら、取り出して油を切っておく。
5.揚がった鯇魚に2のタレをからめてから密封容器に入れ、あら熱がとれたら、冷蔵庫で保存する。翌日以降、味がしっかり染みたら、できあがり。

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