甘酢ショウガ入りチャーハン

Categories 香港味探検
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 大肚婆炒飯」――日本語に直すと「妊婦チャーハン」。この変わった名の料理を私はつい最近まで知らなかったのですが、香港のいくつかの有名レストランで出されている人気メニューだそうで、中身は、ショウガ入りのチャーハンです。ショウガは身体を温める働きがあることから、産前産後の女性に適している、という理由で、こう命名されたのだとか。確かに香港では、産後に、丸ごとのショウガと豚足を黒酢で煮込んだものを食べる習慣があります。妊婦と言えばショウガ、ショウガと言えば妊婦ーー香港人には、連想しやすいのかもしれません。

 もっとも私がこのチャーハンを初めて食べたのは、これら有名店ではなく、うちの近所の、地元の人しか訪れないローカルな飲茶レストランで。何だろう?と注文してみたら、ニンジン、芥蘭(カイラン)、卵、そして甘酢ショウガが入ったチャーハンが出てきたのでした。

 なぜ普通のショウガではなく、甘酢ショウガだったのかは謎ですが、食べてみると、甘酢ショウガの甘酸っぱい味がチャーハンの油っこさを消して、なんともさわやかなお味。動物性タンパク質が卵だけ、というのも潔く、とにかくさっぱりしていて、これなら、つわりで苦しむ妊婦さんでも食べられそう。そうか、だから「妊婦チャーハン」なのか!とその時は納得したのでした。実際、ショウガには吐き気を止める効果もあるそうで、なかなか秀逸なネーミングだと思います。

 甘酢ショウガ、いわゆるガリは、香港にも存在します。以前、飲茶をした時に、甘酢ショウガとぶつ切りの鶏肉と一緒に蒸した点心が出てきて、知らずに食べてびっくり。これが案外おいしくて、ガリは寿司に添えて食べるもの、という固定観念が吹っ飛びました。実は香港では、料理に甘酢ショウガを使うのは珍しいことではなく、炒めものや蒸し料理などに、味のアクセントとして加えたりするそうです。

 日本と同様、香港でも6月に入ると街市(市場)に新ショウガが並び始めます。ショウガは広東語で「生薑/生姜(サンギョーン)」と言い、新ショウガは、若くて柔らかい、という意味の「嫩姜(リュンギョーン)」、あるいは、部分的に薄紫色であることから「紫姜(ジーギョーン)」と呼ばれます。同じ発音で「子姜」と書くこともあり、ひねショウガの「老姜(ロウギョーン)」と対照的です。

 新ショウガで作られる甘酢ショウガは「酸子姜(シュンジーギョーン)」で、街市の調味料や漬けものを売る店に置いてあります。ちなみに紅ショウガは「紅姜(ホンギョーン)」。

 香港の甘酢ショウガを使って作った今回のチャーハン。作り方は普通のチャーハンと全く変わりませんが、あえてコツをあげるとすれば、甘酢ショウガは、一度湯通しして余分な甘みを取り除いてから調理した方が、味がすっきり仕上がるように思います。家庭では一度に大量のチャーハンを作るのが難しいので、今回のレシピの分量は2人分にしました。(2011.8.27掲載)

<大肚婆炒飯  甘酢ショウガ入りチャーハン>

材料(2人分):

ご飯(温かいもの) 茶碗大盛り2杯分
甘酢ショウガ 40g
ニンジン(みじん切り) 50g
芥蘭(茎の部分を小口切り) 100g
卵 2個
塩 小さじ1/2
チキンパウダー(鶏粉/ガイファン) 小さじ1/2
サラダ油 適量

作り方:

1.甘酢ショウガは、熱湯でさっとゆでたら、ザルにあけて、粗みじん切りにする。
2.ニンジンと芥蘭も、下ゆでしておく。
3.中華鍋にサラダ油を熱し、卵を半熟になるまで炒めて、取り出しておく。
4.再び中華鍋に油を熱し、ご飯を入れて炒め、全体にほぐれたら、甘酢ショウガ、ニンジン、芥蘭、卵を加え炒め、塩とチキンパウダーで味を整え、できあがり。

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