ポークチョップバーガー

Categories 香港味探検
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 マカオ風の茶餐庁(食堂)が香港で評判になったのは10年以上も前のことでしょうか。私の記憶が正しければ、ポルトガル風エッグタルトが香港で爆発的に人気が出てから少し後のことです。

 香港とマカオ、フェリーで約1時間という近さなのに、イギリスとポルトガルというかつての宗主国の違いのせいか、香港に住む人間にとってマカオは見慣れない料理も多く、食の面で異国情緒が楽しめる身近な外国、という感じです。

 今回の「猪扒包」も、もとはマカオ発信のもの。フランスパンに焼いたポークチョップをはさんだ軽食で、90年代後半からマカオの名物料理として知られるようになったと言われています。その後香港に伝わって、今では香港の多くの茶餐庁でも食べられるようになりましたが、アレンジされているものも少なくありません。オリジナルは、焼いたポークチョップと炒めたタマネギをはさんだだけのシンプルなもの。その潔さが、このバーガーの魅力でもあります。

 パンはコロンと丸い形状から「猪仔包(ジュージャイバーウ/子豚パン)」と呼ばれています。猪扒包が普及したことで、猪仔包も香港で市民権を得るようになりました。猪仔包を半分に切り、カリッと焼いてから、バターを塗ってコンデンスミルクをかけた「奶油猪仔包」は香港定番の軽食メニューのひとつです。

 猪仔包を食べるたび不思議に思うのは、このサクサク感。以前食べたことがあるベトナムのサンドイッチ「バインミー」に通じるサクサクというかスカスカな軽い歯触りで、日本やパリで食べるフランスパンとは似て非なるものです。製法に秘密があるのか、粉の配合が違うのか…。もっちりしたパンとは対極にある食感のパンですが、この軽さがおやつにちょうどいいのかもしれません。

 猪扒包にはさむポークチョップは、本来、骨付きの豚ロースを使いますが、ここでは骨無しのロース肉を使っています。肉質を柔らかくするための重曹(ベーキングソーダ)は使わず、繊維を叩いて柔らかくした肉をフライパンで香ばしく焼き、鍋底に残った脂と肉汁をタマネギに吸わせるように炒めて、おいしさは全部そっくりいただいてしまいます。

 味つけに使ったシーズニングソースは、「鮮露(シンロウ)」あるいは「マギーソース」とも呼ばれ、少量入れただけで「凝縮された肉のうまみ」が付く便利な液体調味料。香港を始め東南アジア各地でよく使われるソースなのでエスニックな調味料という印象がありますが、実はヨーロッパ生まれなのだそう。これを入れると、一気に「それらしい」風味になるので、ぜひ試してみてください。

 タマネギはシャキシャキした歯ごたえが残るように炒めると、甘さと辛さの両方が味わえて、猪扒包のよいアクセントになります。サクサクのパンとジューシーなポークチョップ、風味豊かなタマネギの組み合わせが、このバーガーの神髄です。香港では、パンが柔らかいハンバーガーバンズだったり、トマトやレタス、マヨネーズがはさんである猪扒包に出会うことも少なくありませんが、個人的には、そんなアメリカンスタイルとは一線を画したところにヨーロッパの流れを汲むマカオ発の猪扒包の魅力があると思っているのですが、いかがでしょうか。(2013.9.14掲載)

<猪扒包 ポークチョップバーガー>

材料(2個分):

猪仔包 2個
豚ロース肉(1.5センチ厚さのもの) 1枚(150g)
塩、こしょう 少々
Aニンニク(すり下ろす) 小さじ1
 しょうゆ 小さじ1
 シーズニングソース 小さじ1
 砂糖 ひとつまみ
タマネギ(薄切り) 1/2個(約80g)
油 少々

作り方:

1.豚ロース肉は、包丁の背で叩いて伸ばした後、両面に軽く塩こしょうをしたら、2等分し、Aを混ぜたものに15分程度漬けておく。
2.猪仔包を横に切り開き、オーブンで軽く焼く。
3.フライパンに油を熱し、1の豚肉を両面がきつね色になるまで焼いたら、皿に取り出しておく。
4.フライパンにタマネギを入れ、タマネギがしんなりとなり、しかし適度な歯ごたえが残る程度に炒める。
5.温かい猪仔包に豚肉とタマネギをはさんで、できあがり。

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