昆布入り緑豆のお汁粉

Categories 香港味探検
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 夫の古い友人が、デザートの店を出しました。その友人というのは、香港人の若い女性のタレントさんなのですが、彼女が芸能活動のかたわら、糖水の専門店を始めたというので、先日、訪ねてみました。

 場所は銅鑼湾(コーズウェイベイ)の繁華街からかなりはずれた所で、行ったのは平日の夜10時過ぎ。閑散とした街にそこだけ明々と灯りがついた小さな店があり、道路にまで人があふれていました。その繁盛ぶりにも驚きましたが、もっとびっくりしたのは、厨房に化粧っ気のない彼女がいて、自ら糖水をよそっていたこと。芸能人がオーナーの店というのは今までにもたくさんありましたが、芸能人自らが厨房に立つ店を見たのは初めてです。

 夫と私に気づいた彼女が出てきてくれて、少し話を聞くことができました。

 もともと飲食業に興味があったこと。でもあまり料理は得意でないので、自分でもできる糖水の店にしたこと。レシピも自分で考え、仕入れ先を探し、毎日仕込みから携わっていること。私たちは旧知のよしみで、家賃やら改装費やらの金額まで聞いてしまったのですが、かなり安く押さえていて、とても堅実な商売をしているようです。華やかな世界も知っている彼女なのに、地道に商売を頑張っている姿を見て、こんなご時世の中、我々も頑張らねば、という気持ちにさせられました。

 微笑ましかったのは、壁にそうそうたる香港の大スターたちが店でお手伝いしている(!!)写真が貼ってあったことで、芸能界の大先輩たちが、彼女を温かい目で応援しているのがよくわかりました。

 前置きが長くなりましたが、今回のレシピは糖水です(友人の店のレシピではないので念のため)。友人の誠実な仕事ぶりに感心したのと同時に、つくづく思ったのは、香港の人がいかに糖水を愛しているか、という事実。芸能人手ずからの糖水を味わってみたいという好奇心もあるでしょうが、家庭でも作れる糖水を、ここまでわざわざ食べにくる熱意には感心します。香港人にとって糖水とは、いつでもどこでも食べたい時が食べる時、そんな存在なのかもしれません。

 今日ご紹介するのは、これからの季節にぴったりの、暑気払い効果がある緑豆のお汁粉です。お汁粉というと冬の食べ物のような気がしますが、身体を温めるのは紅豆(あずき)のお汁粉の方で、緑豆には解熱解毒作用があります。その効果を更に高めると考えられているのが海帶(昆布)で、決して昆布のうま味を期待されているわけではありません。いずれにせよ、日本人にはちょっとカルチャーショックな組み合わせです。

 ところで、本来、柔らかく煮た緑豆を濾してなめらかにしたものを「緑豆沙」と呼び、豆の粒々を残したものは「緑豆糖水」と呼んで区別するのだとか。しかし実際には、豆の粒々が入ったお汁粉も「緑豆沙」と呼んでいる人がほとんどのようです(2009.4掲載)。

 

<海帶緑豆沙 昆布入り緑豆のお汁粉>

材料(4~5人分):

緑豆 300g
昆布 10g
陳皮(4センチ角) 1枚
水 2リットル
冰糖(ビントン/氷砂糖) 120g

 

作り方:

1.緑豆をたっぷりの水(分量外)に1時間浸けておく。
2.昆布と陳皮もそれぞれ、柔らかくなるまで水(分量外)に浸け、昆布は5ミリ幅のせん切りにする。
3.煮込み用の鍋に、水、緑豆、陳皮を入れて強火にかけ、沸騰したら弱火にして約1時間、緑豆が柔らかくなるまで煮る。
4.豆を濾して再び鍋に戻し(好みで、濾さなくてもよい)、昆布を入れて、さらに20分煮る。
5.冰糖を加え、溶けたら、できあがり。

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