バイ貝のスパイシー酒煮込み

Categories 香港味探検
2
Tags

 

 香港で暮らすようになってずいぶん経ちますが、巻き貝を食べたことがありませんでした。花螺(ファーロー)または東風螺(ドンフォンロー)と呼ばれるもので、日本で言うバイ貝の一種。香港ではごくごく一般的な貝のひとつです。

 理由は自分でもわかっていて、香港に越して来たばかりの時に、屋台街を案内してくれた香港人の友人が、バイ貝の炒めものを食べている人を見ながら、「巻き貝は火が通りにくいから怖いよ。当たると大変だから、私なら絶対に食べない」と小声で言うのを聞いて、すっかりおじけづいてしまったからです。

 しかしついに、巻き貝デビューをする日がきました。スーパーの鮮魚売り場で子供に「食べてみたい」とねだられて、思い切って買ってみることに。売り場の人が「ゆでるか酒で煮るよい」と教えてくれたので、家に帰って塩ゆでにしてみました。

 けれども、下処理が不十分だったのか、鮮度のせいなのか、貝特有の臭みが気になって、家族の反応は今ひとつ。

 がっかりしましたが、これで逆に、俄然、やる気が出てきました。今度こそ、おいしいバイ貝料理を作ってみせましょう!

 もうひとつの調理法「酒で煮る」というのは、80年代に香港のある海鮮レストランが考案して大ヒットしたもので、たっぷりの中国酒と大量のトウガラシを入れたスープで煮るという方法です。店はもうなくなってしまいましたが、その看板料理はいろんな店に受け継がれ、今ではバイ貝料理と言えばコレ、と言われるほどスタンダードな料理なのだそう。今度はこちらで再挑戦です。

 まずは、バイ貝の買い方、下処理の仕方をご説明しましょう。

 肝心なのは、新鮮なバイ貝を選ぶこと。殻から身を少し出して動いている元気なもの、あるいはしっかりと蓋を閉じているものを選びます。蓋の部分が取れかかったり、身がだらしなく出ているものは弱っているか死んでいる貝です。

 貝殻の表面(特に渦巻きの部分)や蓋の内側に汚れがたまりやすので、流水をかけながら、歯ブラシで丁寧に汚れを取り除きます。ただし、ブラシでこすると貝が弱るので、洗うのは調理直前にします。

 辛味スープの味の基本はトウガラシと豆板醤(とうばんじゃん)ですが、沙茶醤(サーチャージョン/エビペーストが主体の辛味調味料)を少量加えると、スープにコクが出ます。同様に、酒も紹興酒だけでなく、ハマナス酒(玫瑰露酒 /ムイグヮイロウジャウ)を入れると、香りがより複雑に。

 酒たっぷりの辛味スープは、そのままではツンとくるキツイ味なのですが、バイ貝を入れてしばらく煮込むと、あら不思議、貝から出たダシのおかげで、まろやかで、何ともいえない風味豊かなスープに変身します。むっちりとした貝の身も食べごたえがあっておいしいのですが、私は貝よりスープの方が気に入ってしまい、これをご飯にかけただけで、いくらでも食べられそうです。

 バイ貝自体の風味が濃いので、このくらい強い味つけがちょうどいいように思いました。これはリピート決定です。やっぱり食べず嫌いはいけませんね。(2013.6.1掲載)

 

<辣酒煮花螺 バイ貝のスパイシー酒煮込み>

材料(4人前):

バイ貝 600g
ショウガ(みじん切り) 大さじ1
ニンニク(みじん切り) 3個
シャロット(干葱頭/ゴンチョンタウ)(小口切り) 2個
赤トウガラシ(生) 3本
赤トウガラシ(乾燥したもの) 3〜4個
A豆板醤 大さじ1
 沙茶醤 小さじ1
 紹興酒 100cc
 ハマナス酒 小さじ2
 チキンスープストック(または水) 200cc
 しょうゆ 小さじ1
 砂糖 小さじ1/2
 塩 少々
ゴマ油 小さじ1
香菜(粗みじん切り) 少々
油 少々

作り方:

1.鍋に油を入れ、ショウガ、ニンニク、シャロットを炒め、いい香りがしてきたら、トウガラシを入れてさらに炒め、全体に油がなじんだところでAを入れて、ひと煮立ちさせる。
2.別の鍋に湯をわかし、よく洗ったバイ貝を入れて、再び沸騰したら貝を取り出す。貝の蓋がはがれるので、取りはずしておく。
3.1の鍋にバイ貝を入れ、蓋をして5分間、中火でぐつぐつと煮る。
4.ゴマ油を加えて火から下し、皿に盛りつけ、香菜を散らして、できあがり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 thoughts on “バイ貝のスパイシー酒煮込み

  1. とあるお店が考案してヒットした料理が、そのお店自体が無くなってしまっても、広がり続け多くの店で作り継がれて定番料理になる・・・。これってやっぱり香港でもあるのですね。日本でもよくあるような。日本は広いから、地域の特産品が全国規模になってという例も多いですし。
    「逆に俄然やる気が出てきました」というあたりなど、さすが料理に携わるかたなのだろうなあと感じてしまいます。しかも当初は怖気づいてしまったものなのに。さらには異国の素材なのに。
    おっしゃるように、食べず嫌いはすごく勿体ないことをしているのかもしれませんよね。自分は多いです。牡蠣もそうです。生牡蠣は未だにダメなのですが、香港で小さな牡蠣の寄せ揚げ(?)みたいな1品を初めて食べた時は、「ん?これ好きかも?」と思いました。(笑)

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをありがとうございます。

    日本だと夏場に牡蛎なんて考えられませんが、香港だと普通にありますね。
    小さな牡蛎の寄せ揚げというのは、潮州風の牡蛎オムレツのことでしょうか。
    私も牡蛎が苦手で、味がダメだなけでなく、かなりの確立で当たるのですが、あのオムレツは魚醤(ナンプラー)をつけて食べるとおいしいですよね。この組み合わせを考えた人はすごいと思います。
    夏に牡蛎を食べるなんて、とか、でもオムレツはおいしいな、とか、だけど怖いからひと切れだけにしておこう、とか、たかだか牡蛎オムレツを少し食べるのに、心の葛藤はすさまじいものがあります。自分でも、何やってんだ私?と思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>