キンモクセイと甘酒風味の温かい白玉デザート

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 今年の春は、1ヶ月間ほど日本へ帰っていました。

一時帰国の楽しみのひとつは、書店やスーパーマーケットを巡って、新刊本や新製品をチェックすることです。今回とにかくいたるところで目についたのが「塩麹」の文字。

 塩麹とは、麹菌を付けた米に塩と水を加え発酵させた調味料で、塩麹を使ったレシピ本が数多く出版され、市販の塩麹の瓶詰めはもちろん、手作り派のための米麹も売られていました(しかもどの店もすぐに売り切れて品薄状態)。少し前は「食べるラー油」が爆発的大ブームだった気がするのですが、光陰矢の如しといいますか、くるくる変わる日本の流行を目の当たりにして、浦島太郎状態になりました。

 日本に住んでいる妹が言うには、これでも塩麹ブームはピークを過ぎ、塩麹はすでに一般調味料として家庭に定着しつつあるのだとか。さっそく私も塩麹を買って豚肉や生鮭を漬けてみると、塩辛さの中に甘みがある複雑な味なので他の調味料を必要とせず、しかも麹に含まれる酵素が肉や魚のうま味を引き出し、大変おいしく仕上がりました。なるほど、これは人気が出るはずです。

 ところで、香港にも麹を使った調味料は存在します。塩麹とは似て非なるものですが、中国でたいへん重用されているのが、酒醸(ジャウヨン)という調味料。

 柔らかく炊いたもち米に麹と酒を加え発酵させたもので、トロッとした白粥のような外見です。酒の香りがして、ほのかな甘味と酸味があり、日本の甘酒にそっくり。

 私が酒醸を初めて食べたのは、香港の上海料理レストランで。 キンモクセイと酒の香りが立ち上る甘い汁の中に、小さな白玉団子が浮かんたデザートが出てきました。温かくて、香りがよくて、胃の中に優しく染み渡っていく感じは、広東式の糖水(スープ状のデザート)とはまた別のおいしさです。

 香港ではこのようにデザートに用いることがほとんどの酒醸ですが、中国、特に四川では天然のうま味調味料として使われており、干焼蝦仁(エビチリ)、回鍋肉、麻婆豆腐などを作るとき少量加えると、辛さがマイルドになって、大変おいしくなるのだとか

 実は日本の調味料メーカーも「チューニャン」という呼び名で酒醸を製造販売していて、日本でも知る人ぞ知る中華調味料だったということも、今回初めて知りました。

 私はまだまだ酒醸ビギナーなので、今回のレシピは、簡単に作れて、かつ酒醸の風味がよくわかるデザートにしました。香港のスタンダードレシピということで、桂花糖(グヮイファートン)というキンモクセイの花のジャムで香りをつけましたが、甘酒に似ているので、しょうがの絞り汁も合うのではないでしょうか。

 いずれは酒醸を隠し味に使った上級レシピにも挑戦していきたいと思っています。実は、これでべったら漬けが作れるのではないか?とも考えているのですが、どうでしょう。工夫次第で、さまざまな酒醸レシピができそうです。私のように塩麹のおかげで麹パワーに目覚めた方は、ぜひ酒醸も試してみてください。そうそう、酒醸はスーパーの冷蔵コーナーに瓶詰めの状態で売られています。開封すると日持ちしませんが、冷凍保存できるようです。(2012.5.19掲載)

<桂花酒醸丸子 キンモクセイと甘酒風味の温かい白玉デザート>

材料(4人分):

白玉粉(糯米粉/ノーマイファン) 100g
水 約90cc
水 800cc
砂糖 70g
酒醸 120cc
桂花糖 小さじ1/2
水溶きかたくり粉 少々

作り方:

1.ボウルに白玉粉を入れ、水約90ccを少しずつ加えながらよくこねる。耳たぶくらいの柔らかさになったら、ごく小さな球形に丸め、たっぷりの熱湯(分量外)でゆで、冷水にとって、冷ましておく。
2.鍋に水800ccを入れ火にかけ、沸騰したら、砂糖、酒醸、桂花糖、ゆでた白玉を加え、ひと煮立ちさせる。
3.水溶きかたくり粉を加え、薄くとろみがついたら、火から下し、碗に盛りつけ、できあがり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 thoughts on “キンモクセイと甘酒風味の温かい白玉デザート

  1. >キンモクセイと酒の香りが立ち上る甘い汁・・・想像する事しか出来ませんが、とても芳しい香りとお味とが思い浮かびます。また、その下の方でおっしゃられるように、キンモクセイの香りのジャムに生姜を合わせるというのも、香りのみならず身体にもなんだか良さそうな気さえします。キンモクセイは大活躍なのですね。キンモクセイが混ぜ込まれた冷たい糕を食べたことがありますが、香りも楽しむことを考えるとやっぱり温かなものの方が良さそうですね。

    滞在中に、甜品舗やケーキ屋などで、キンモクセイの小さな花びらが封じ込められているデザート・お菓子を目にすると、思わず注文することが多いです。日本ではなかなか見ないだけに、珍しくて。日本で嗅覚で楽しむことはあっても、口に運ぶことは新鮮な体験ですものね。

    上環の乾物屋街の中で、袋満杯になっているキンモクセイを見かけたことがあります。大陸方面からやって来るのでしょうか?香港ではキンモクセイの樹さえも無いようなイメージなのですが、どうなのでしょう?1年を通じて秋ならではのあの香りが、香港だと1年を通していつでも「食」として楽しめると思うと、不思議な気持ちになります。

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをありがとうございます。

    おっしゃる通り、香港でキンモクセイの樹を見ることはまずないですね。やはり大陸から、食用のものが入って来るのだと思います。

    香港で手に入る食用のキンモクセイは、乾燥したものとシロップに漬けたものの2種類です。上の本文で「桂花糖」を花のジャムと説明しましたが、シロップ漬けの方が適切かもしれません。日本でもキンモクセイのジャムはあるのかな?と思ってネットで探してみたら、一応あるのですね。でもキンモクセイの密度が低く(少なく)て、これをジャムと呼ぶのなら、桂花糖はシロップ漬けだな、と。

    桂花糖ならキンモクセイがたっぷりで、お得です!

    少量でとてもいい香りがするので、香港みやげとして喜ばれるのではないでしょうか。いろんなデザートに応用できますね。

    桂花糖は、びんの蓋をしっかりしめて、冷蔵庫で保管することをお薦めします。以前、常温保存しておいたら蓋にびっしりアリがたかっていました(泣)。

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