魚のすり身詰め揚げ

Categories 香港味探検
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 我が家の最寄り駅の構内に、魚ボールや焼きそば、シュウマイなどの軽食を売る店があります。いつも人だかりがしていて、その場で食べている人も少なくありません。こうした立ち食いの習慣は、香港の屋台文化の名残です。

 香港の移動式屋台は、1950~60年代が全盛で、90年代半ばまでは、いたる所で見かけました。衛生上の問題から取り締まりが厳しくなり、存続が困難になった屋台ですが、ちょうどその頃、香港が金融危機に陥り、不動産価格が下落、家賃も下がったことから、屋台主たちは屋台を捨て、小さな店を開いて、そこで商売を続けることにしたのでした。家賃が高騰している現在でも、軽食を売る店が数多く生き残っているのは、香港人が軽食を愛してやまない証しと言えるでしょう。

 私は、テイクアウトして、自宅でのんびりビールを片手につまむのが好きです。

 お気に入りは、この店では「炸三宝」と呼ぶ、野菜や豆腐に魚のすり身を詰めて揚げたもの。一般的には、「煎醸三宝」と言います。

 かつて、豆腐、ピーマン、ニガウリ、ナス、ソーセージなどから「3種類選んでいくら」という売り方をしていたのが、この名の由来だそうです。ちなみに、「炸」は「揚げる」、「煎」は「多めの油で焼く」、「醸」は「詰めものをする」という意味。

 魚は、鯪魚(レンユー)という、中国南部の珠江デルタ地域で盛んに養殖されている淡水魚で、小骨が多いため、すり身にして食べます。この鯪魚のすり身は、街市(市場)などの鮮魚売り場で量り売りされています。基本は、魚肉に、塩と香辛料(淡水魚特有の臭いを消すため)とつなぎですが、各店が自製しているので、化学調味料の味がするもの、コショウの香りが強いもの、ネギが練り込んであるもの、などいろいろです。

 友人のタイ人のお手伝いさんが、レッドカレーペーストで味つけして作ってくれた「タイ風さつまあげ」を食べて感動して以来、このすり身の使い勝手のよさが気に入って、ここでも以前、トマトに詰めて煮た「釀番茄」、豆腐と混ぜて蒸した「琵琶豆腐」のレシピを紹介しました。

 この「煎醸三宝」も、ひと手間かければ、立派なおそうざいです。「すり身に中国サラミのみじん切りを混ぜて作った『煎醸三宝』は、ばあちゃんの得意料理だった」と、香港人の友人。しかし今回は、あえてチープでジャンクな味を再現してみました。家の近所の「炸三宝」は、つなぎが大量に入っているせいか、もっちり、むっちりとしていて、それがおいしさにつながっています。そこで私も、小麦粉と生粉(サンファン/タピオカでんぷん粉)を、たっぷり加えてみました。

 普段は油っこいものを避け、ビールも飲まない私なのに、この「煎醸三宝」だけは別。悪魔がささやく食べものです。(2011.3.5掲載)

  

〈煎醸三宝 魚のすり身詰め焼き〉

材料(4人分)

鯪魚のすり身 300g
A小麦粉 大さじ4
 生粉 大さじ4 
 ショウガ汁 小さじ1/2
 塩  小さじ1/4 
ピーマン(緑、赤)(4つ割りにしてタネを取る)  各1個
青トウガラシ(2つ割りにしてタネを取る) 1本
揚げ豆腐(2つに切る) 2個
ナス(1センチ厚さの斜め切り) 1本
赤ソーセージ(紅腸/ホンチョーン)(1センチ厚さの斜め切り) 100g
Bしょうゆ 大さじ3 
 砂糖 小さじ1・5
 鶏粉(チキンパウダー) 小さじ1/2
 水溶きかたくり粉 少々
油 適量

 

作り方 

1.すり身にAを少しずつ加えてよく混ぜる。
2.野菜や豆腐の切り口にかたくり粉を薄くはたき、1のすり身を薄く塗る。
3.フライパンに多めの油を熱し、中火で、すり身に火が通るまで焼く。
4.Bを小鍋で温めてタレを作り、上からかけて、できあがり。好みで、辣椒醤(チリソース)をつけて食べる。

 

2 thoughts on “魚のすり身詰め揚げ

  1. 街角で揚げながら販売してるコーナーに、人が群がっている光景を目にします。食べてみたいなあっていう気持ちになるのですが、廣東語語学ゼロということで、ハードルが高いんです。(笑)指差しでいいのかもしれませんが、「あれとこれとそれちょうだい!」って言わなくちゃいけないような気がしてまして。
    美味しそうですね~。お皿に盛られた右上から覗いている、爪楊枝みたいな串が、いかにも気分ですね。

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをありがとうございます。

    スーパーでも、野菜や豆腐にすり身を詰めたものが、あとは焼くだけ、の状態で売られています。家で焼いてご飯のおかずにする香港人が多いということでしょうか。あるいはおやつにするのかな?

    やはりこれは箸で白飯と一緒に食べるものではなく、竹串を使って口に放り込むのが似合う気がします。いかにも体に悪そうで(カロリー高そうだし)、このジャンキーさがたまりません。

    それにしても、香港の軽食って、日本人にはおかず、的なものが多いですよね。魚ボールとか、魚肉シューマイとか。鶏モモ肉も、香港人にとっては、おやつなんですよね。

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