沙田風の鶏肉粥

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 香港の郊外・新界(ニューテリトリー)の東部に位置する沙田(サーティン)地区は、香港最多の人口を抱えるベッドタウン。香港政庁が計画した最初の衛星都市のひとつで、60年代から大規模な埋め立て工事が始まり、70年代には公共団地の建設が始まりました。私営の大型マンションが立ち並ぶ現在のような賑やかな街の姿を見せるのは80年代に入ってからで、それまでの沙田といえば、家族や友達と一緒に、あるいはデートで、ちょっと足を伸ばして訪れる行楽地、という位置づけだったようです。

 「沙田の山の上に有名なレストランがあってね、夜景を見ながら彼氏とハトを食べるの。ロマンチックでしょう」と、昔、香港人の友人が話してくれました。

 そう、沙田を訪れる人たちの楽しみのひとつが、当地の名物料理を食べること。最も有名なのが「ハトのロースト」で、実はもうふたつ、今でも「沙田三宝」と謳われているのが、沙田の山の水を使って作るという「豆腐」料理と、「鶏の入ったお粥」です。

 「鶏肉入りの粥」というのは、60年代、まだ夜の娯楽が乏しかった当時、沙田のナイトマーケットまでドライブに来た観光客を相手に、ある屋台が夜食として出した料理が発祥だと言われています。

 白粥に白切鶏(バーッチッガイ/ゆで鶏)を入れたもので、粥の表面には黄色い鶏の脂が浮かんでいます。ナイトマーケットは79年の大火災で無くなってしまいましたが、「沙田鶏粥」は今でも沙田の名物料理として知られる他、一般的な料理となって、香港だけでなく、マカオや広州まで名前が広まっています。

 「沙田鶏粥」は、白切鶏に熱い粥を注ぐだけのものと、白切鶏と粥を一緒に煮込むふた通りの作り方があるそうですが、後者の方がダシが出て、味がよいようです。白切鶏は焼味舗(ロースト肉屋)や大型のスーパーで売っている市販のもので十分。そしてベースとなる粥は、白切鶏自体に味が付いているので、何も入れない白粥でも十分おいしく食べられます。表面に浮かんだ鶏脂は粥にコクを加えますが、気になる人は、煮込んでいる最中にすくい取ってしまってもいいでしょう。ショウガの味を効かせて、いただきます。

 香港のお粥は、米と水の割合が1対20が基本ですが、好みで水を15くらいまで減らしてもかまわないようです。個人的にこのお粥に関しては、米粒の形が少々残っているくらいがおいしく感じました。

 白飯として食べる場合は長粒種のタイ米が好まれている香港ですが、お粥の場合は、日本やオーストラリア産の短粒米がふっくらと柔らかく炊けるのでよく使われているようです。(2008.9掲載)

 

<沙田鶏粥 沙田風の鶏肉粥>

材料(3~4人前): 

米 1/2カップ
塩 ひとつまみ
サラダ油 小さじ1
水 2リットル(好みで加減する)
白切鶏(市販のもの) 半羽(約200g)
ショウガ(せん切り) 10g
長ネギ(小口切り) 少々

 

作り方:

1.米はといだ後、水気を切ってボウルにあけ、塩、油をまぶす。
2.土鍋(または深鍋)に水を沸かし、沸騰したら米を入れ、再び沸騰したところで火を弱め(ただし常に煮立っていること)、ふたをして1時間煮る(途中、焦げつかないよう、時々混ぜる)。
3.白切鶏とショウガを入れ、10分煮る。
4.碗に盛りつけ、上に長ネギを散らして、でき上がり。

2 thoughts on “沙田風の鶏肉粥

  1. 沙田三宝という名物があるんですね。全く知りませんでした。沙田は10年以上前に何度か行き、あまりにもショッピングプラザが人だらけで混み合っていたので、避難して(笑)広い堤のある川のほとりを散歩した記憶があります。その頃これを知っていれば、きっと探したと思います。
    お写真から香りや食感が伝わって来るようです。美味しそう~。名物料理っていうのは、やはり屋台から生まれ、愛され、時を経ても健在なのですね。燒臘店で白切鶏飯はよくお目にかかりますが、それとお粥が出会えるなんて、いいお出汁が出ているのでしょうね。鶏も、街市で手に入る物と超級市場でラップに包まれている物では、お味が異なるのでしょうか。なんだか街市のものの方が美味しそうに感じますが。(笑)お粥の米はタイ米ではなかったのですね。お粥を見ていて「あの細いコメがどうやってこの粒になるんだろう?」って不思議に思ったことがありました。色々と教えてくださってありがとうございます。

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをどうもありがとうございます。

    ただでさえ人口密度の高い沙田は、最近では大陸からの買い物客が増え、さらにカオスと化しています。スーツケースを引いた人たちがゾロゾロゾロゾロ歩いているので、全然前へ進めません〜。のどかな沙田の雰囲気を楽しもうと思ったら、駅からかなり離れないとダメでしょうね。

    香港のお粥は、油を入れて沸点を高めて炊くのがコツです。スープをたっぷり吸ったお米が、ふっくらと膨らんで、ひと粒ひと粒が花開くように煮るのだそうです。そう聞くと、なんだかお粥が優雅な食べものに見えてきますね(笑)。

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