豚肉とレンコンのエビペースト炒め

Categories 香港味探検
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 リビングにいた息子が「クサイ、クサイ!」と騒いでいます。匂いの元は、晩ご飯の支度をしているらしい隣の家のキッチンから流れてくる蝦醤(ハージョン)の香り。あれを香ばしい香りと思うか、クッサイ臭いと思うかは人それぞれですが、日本ではまず嗅ぐことのない独特の香りです。

 広東語ではこれを「鹹香」と表し、直訳すると「しょっぱい香り」という変な日本語になるのですが、「酸っぱい」が、舌だけでなく鼻孔でも感知できるように、 蝦醤の匂いは、やはり「しょっぱい」と表現するしかない、鼻孔を直撃する香りです。

 蝦醤は、オキアミを発酵させて作ります。すりつぶしたオキアミに塩を混ぜ、ドロリとなったものをザルに広げ、天日にさらすこと半日。それをさらに圧縮すると、ピンクがかった灰色の粘土のように固まった蝦膏(ハーゴウ)ができ上がります。 蝦膏をさらに数時間発酵させペースト状にしたものが蝦醤です。

 蝦膏と蝦醤の生産地として有名なのは、ランタオ島の南西部にある大澳(タイオー)という漁村ですが、他の離島でも作っている様子を見たことがあります。ザルがずらりと並んだ光景と、辺り一帯に漂う特有の匂いに、香港にもこんなに素朴でのどかな場所がいまだあるのかと、びっくりしました。

 発酵調味料は、使い方次第で、驚くほど威力(おいしさ)を発揮します。

 蝦醤はそのままでは生臭いのですが、油と一緒に加熱する(つまり炒める)と、独特な香りが一気に立ち上ります。

 蝦醤の味と香りを生かしたひと皿といえば、飲茶でよく出てくるイカの切り身にニンニクと共にまぶして蒸したもの。イカの生臭さを蝦醤が消す組み合わせの妙は、いつ食べても感心します。もちろん、エビのうま味も加わって、おいしさも倍増。タイやインドネシア料理にもよく使われており、エスニックな風味を付けたい時に、たいへん便利な調味料です。

 先日、広東料理レストランで食べたレンコン炒めにも、隠し味のように蝦醤が使われていました。口に入れた瞬間はわからないのですが、後から鼻にふっと蝦醤の香りが抜けます。ただ塩味で炒めただけより、香ばしくて、味に深みがあります。このひと皿だけで、白いご飯がいくらでも入りそう。

 レンコン(蓮藕/リンガウ)というのは不思議な野菜で、蝦醤や、以前紹介した南乳(豆腐を発酵させたもの)など、クセのある調味料ととても相性がいいのです。今回はあえて隠し味として使いましたが、蝦醤がお好きな方は、分量を倍にして(その分、塩を控えめにして)、独特な匂いとうま味を、たっぷり味わってください。(2010.3.20掲載)

 

 

<肉片炒蓮藕 豚肉とレンコンのエビペースト炒め>

材料(4人分):

レンコン(皮をむいて、2ミリ厚さに切る) 400g
豚肉(薄切り) 150g
A塩 小さじ1/2
 こしょう 少々
 酒 小さじ1
 かたくり粉 小さじ1
 サラダ油 小さじ1/2
ニンニク(薄切り) 2粒
ショウガ(薄切り) 5g
蝦醤 小さじ1/2
塩 小さじ1/2
砂糖 小さじ1
酒 大さじ1
長ねぎ(4センチ長さに切る) 少々
ごま油 小さじ1
油 適量

 

作り方:

1.豚肉にAを順番に混ぜながら加え、しばらく置いておく。
2.中華鍋(フライパン)に油を熱し、豚肉を色が変わるまで炒め、取り出しておく。 
3.再び中華鍋(フライパン)に油を熱し、弱めの中火で、ニンニクとショウガ、 蝦醤を炒め、いい香りがしてきたら、レンコンを加え、火を強火にして炒める 。 
4.塩、砂糖、酒を加え、さらに2の豚肉も加え、ややしんなりするまで炒める。
5.さらに、長ねぎ、ごま油を加えたら、大きく混ぜて、火から下し、皿に盛りつけ、できあがり。
*酒は、日本酒でも紹興酒でも構いません。

 

 

 

2 thoughts on “豚肉とレンコンのエビペースト炒め

  1. 蝦醤のその独特な香りっていうのは、思い出すことが出来ません。きっと何度も遭遇しているのでしょうけれど、もう嗅覚が「香港仕様」に近付いてしまって麻痺しているのかもしれません。(笑)でも、大澳のあの川というか池というか、あの匂いは「大澳=あの匂い」というくらい印象的です。空の青さと素朴な町風景に誘われて、何度も赴きました。
    自分にとって独特な強い匂いというと、やっぱり臭豆腐でしょうか。遠くからでも分かりますものね。お好きですか?怖いもの見たさ(?)で1度だけ食べたことがあるような気がしますが、あの匂いを嗅ぐだけで、もう食べた気分になっちゃいます。(笑)けっしてキライな匂いでは無いです。

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをありがとうございます。

    臭豆腐! 香港では一度食べたことがあります。道端の屋台で揚げていました。外側はカリッと、中はトロッとしていて、意外とおいしかったことを覚えています。口に入れてしまえばそれほどにおいも気にならず、揚げた納豆みたい? と思いました。チリソースと甘酸っぱいジャムが添えてあって、今思うと、なかなか洒落た食べ方でしたね。
    その後、台湾と上海でも食べました。台湾では、がんもどきのようなものの中に混ぜ込んであって、なんとか食べられました。でも上海では、蒸した臭豆腐がそのまま皿に乗って出て来て、これは無理でしたね。強烈なアンモニア臭が鼻孔から目に突き抜けて、においが目に染みるってこういうことなんだなあ、と思いました。これは食べられなかったです。

    臭豆腐は、もうずいぶん長い間見かけません。昔は銅鑼湾のような繁華街にも屋台が出没して、においで観光客を驚かせていたんですけど(笑)。
    先日、太子に行ったら、この懐かしい香りが漂ってきたので、思わずキョロキョロしてしまいましたが、発見することはできませんでした。きっと200メートルくらい離れていたんでしょう(笑)。

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