ニンニク風味の揚げナス

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 先日、テレビをつけたら『新不了情(邦題「つきせぬ想い」)』を放送していました。93年に公開されて大ヒットした純愛映画で、主役の2人が歩く香港の町並みに、思わず見入ってしまいました。夜店の熱帯魚、山から見下ろす香港の夜景、ビルすれすれに飛ぶ飛行機、街頭の広東オペラ、水上屋台…、今では下町のごく一角でしか見られない、あるいは、もう姿を消してしまった懐かしい光景が続きます。

 2人が食事をする水上屋台は、避風塘(ベイフォントン)と呼ばれるタイフーンシェルター(台風時に船が避難するために、防波堤で囲まれた入り江)で、香港にはこうした場所がいくつかあります。

 ここには、サンパンという小さな船が数多く停泊していて、かつては大勢の水上生活者が暮らしていました。7,80年代は、ここでサンパンを借り船遊びをすることが流行り、こうした客相手に料理を出す水上屋台船が繁盛しました。辛く濃い味付けにした海鮮料理がメインだったようです。

 しかし90年代に入って、海水の汚染や衛生上の問題から、政府はサンパンでの調理を禁じ、仕事の場を失った屋台は陸に上がって営業を続けるようになりました。これらの店は避風塘時代の料理を売り物にし、いつしか「避風塘」という名が、ひとつの料理のジャンルとして確立されていきました。

 避風塘料理で最も有名なのは「避風塘炒蟹」という、カニを大量のニンニクや豆豉(トウチ)、トウガラシと共に炒めたものです。シャコやエビに代える場合もありますが、なぜかもうひとつ人気があるのが、今回ご紹介する「避風塘茄子」。

 なぜにナスなのか? 

 想像ですが、ナスは廉価で1年中手に入り、火の通りも早く調理が簡単だから作る側にしてみれば至極便利、客にとっては、魚介類よりずっと経済的、というわけで、よく作られるようになったのではないでしょうか。そして食べてみれば納得、香港のナスは身が柔らかく、カリッとした衣とトロッとしたナスの組み合わせが絶妙で、これなら海鮮じゃなくても無問題! というおいしさなのです。

 「避風塘」風味を決めるのは、大量の揚げニンニク。とはいえ、ニンニクだけだと苦味が出るので、パン粉を混ぜて歯触りと香ばしさを補います。このカリカリニンニクは、トッピングとしていろいろと応用がききそうです。白いご飯との相性も抜群。

 ナスの衣は、市販の炸粉(ジャーファン)を使いました。日本で言う「天ぷら粉」のようなものですが、簡単にカリッと揚がるので、揚げ物下手の私は重宝しています。(2008.10掲載)

 

 

<避風塘茄子 ニンニク風味の揚げナス>

材料(3~4人前): 

ニンニク(みじん切り) 100g
シャロット(干葱頭/ゴンチョンタウ)(小口切り) 80g
油 大さじ3
パン粉 100g
ナス(皮をざっとむいて、乱切り) 300g
A炸粉 30g
 水 50cc
 塩 小さじ1/2
香味油(レシピ本文参照) 小さじ1
B豆豉(粗みじん切り) 小さじ山盛り1
 赤トウガラシ(小口切り) 2本
 ピーマン(1センチ角に切る) 30g
揚げ油 適量

 

作り方:

1.小鍋に油を入れ、にんにくとシャロットを弱火で炒め、薄いきつね色になったら取り出す(香りの移った油は後で使うのでとっておく)。
2.フライパンにパン粉を入れ、薄いきつね色になるまで、から煎りし、油をよく切ったニンニク、シャロットと合わせる。
3.ナスにAをよく混ぜたものをからめ、中温に熱した油で、じっくり揚げる。
4.中華鍋に1の香味油を少量熱し、Bを炒めていい香りがしてきたら、揚げたナスと2のニンニクを加え、全体によく混ざったら、火から下ろし、皿に盛りつけ、できあがり。

2 thoughts on “ニンニク風味の揚げナス

  1. 「つきせぬ想い」・・・懐かしいです。日本で観て、何年か後に、香港滞在中のホテルの部屋でTV放映していたのを観ました。その地で見るその地の映像。新鮮な体験でした。(笑)
    サンパン、ビクトリア湾で漂っている光景はちょっとだけしか見られませんが、いつも三家村の湾(池?)の中にたくさん停泊しているサンパンを見に行きます。今でも船上で火をくべていたり洗濯していたり、生活そのものを垣間見ることが出来ますよね。
    お写真が美味しそうです!なるほどパン粉を混ぜるのですね?おっしゃるように、どれだけでも白飯がすすみそうですね。

  2. Noriko on

    こえだ様

    コメントをどうもありがとうございます。

    昔、取材で銅鑼湾のサンパン巡りをしました。小さなボートに乗って、水上生活をしている人たちの船の間をぐるっと回ったのですが、廟の船まであってびっくりしたことを覚えています。あそこで暮らす人たちにとって、水上は地上と同じ生活の場なんですね。でも銅鑼湾に関しては、本当に船が減ってしまいました。
    『トゥームレイダー2』には香港仔のサンパンが出てきます。住んでいるファミリーの顔があまり香港人ぽくないのだけれど(笑)、西洋人にとって香港はいまだにサンパンのイメージが強いのだなあ、とあらためて思いました。

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