ベジタリアングース(野菜の湯葉包み焼き)

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 中国料理には「素食(精進料理)」というジャンルがあり、大豆や小麦粉のグルテンで作った肉や魚を使った料理が色々あります。ものによっては、本物と区別がつかないほど精巧にできていて、中国の精進料理の奥の深さに感心するのですが、この「素鵝(ベジタリアングース)」に関しては、ずっといぶかしく思っていました。せん切りの野菜をはさんだ湯葉を油で焼いたものを「ローストグース」に見立てるのは、ちょっと無理があるのでは?

 「こんがりと焼けた表面が、本物のローストグースと似ているから」というのが命名の由来のようですが、なぜ、野菜が入っているのでしょうか。

 実は、具を入れない「素鵝」もあるのだそうです。でも、それだと一品料理としては地味すぎるので、中に具を入れることにした……というのは、あくまで私の推測ですが。

 他にも不思議に思うことが、いくつかあります。

 「素鵝」は上海料理レストランでも食べられます。でも「素鵝」のオリジナルである「焼鵝(ローストグース)」は広東料理。いつ、どこで上海料理と広東料理が融合したのか、ルーツがわかりません。

  さらに、香港には、「齋焼鵝」という食べものがあります。「齋」も「素」と同じく「精進料理」を意味し、「齋焼鵝」は訳すとやはり「ベジタリアングース」。ただしこちらは、カリカリに揚げたひと口サイズのグルテンを甘辛く味つけしたスナック菓子で、香港人にとっては、懐かしいおやつのひとつ。なので香港では「素鵝」と「齋焼鵝」はまったく別のものなのですが、中国大陸では、「齋焼鵝」は「素鵝」の別称、つまり同じものだそうで、調べれば調べるほど、わからないことがでてきました。

 香港で一般に売られている湯葉(腐皮/フーペイ)には、生のものと乾燥したものの2種類がありますが、今回使うのは、そのどちらでもありません。街市(市場)の乾物屋で店の人に「『 素鵝 』を作る」と言ったら奥から出して来たのが、直径60センチもある大きな円形の湯葉。ほとんど乾いていますが、折り畳める程度に柔らかい半乾き状態です。店頭で売られているシート状の乾燥湯葉は、煮溶かしてデザート用だそうで、これを水で柔らかくして「素鵝」を作るつもりでいた私はびっくり。本当に知らないことばかりです。

 湯葉は焦げやすいので、焼くときは、弱火でじっくりと。具の味つけにオイスターソースを使う「素鵝」レシピも見かけますが、精進料理として作るならオイスターソースはNGです。個人的には、しょうゆと砂糖だけでも、充分滋味があって、おいしいと思います。(2010.10.23掲載)

  

   

<素鵝  ベジタリアングース(野菜の湯葉包み焼き)>

材料(20センチ×6センチ 2個分):

湯葉(直径60センチの円形のもの) 1枚
にんじん(せん切り) 50g
しいたけ(せん切り) 60g
きくらげ(水で戻したものをせん切り) 15g
サラダ油 小さじ2
A砂糖 小さじ1
 しょうゆ 大さじ1
 水 50cc
ごま油 小さじ1
水溶きかたくり粉 少々
油 少々

 

作り方:

1.鍋にサラダ油を熱し、にんじん、しいたけ、きくらげを入れて軽く炒め、Aを加えて、にんじんが柔らかくなるまで煮たら、ごま油と水溶きかたくり粉を加え、全体にまとまったところで、火から下ろす。
2.湯葉を二等分(半月型)に切り、1を半量ずつ、湯葉の中央前方に乗せ、具を包みながら巻く。巻き終わりを楊枝で止めて、皿に乗せる。
3.蒸気の上がった蒸し器に2を入れ、10分間蒸す。
4.フライパンに油を熱し、蒸し上がった湯葉を、弱火で、表面がきつね色になるまで焼く。楊枝をはずし、食べやすい大きさに切って、皿に盛りつけ、できあがり。

 

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