ハマナス風味の栗と百合根と白キクラゲの甘いスープ

Categories 香港味探検
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 年末年始に日本へ行って来ました。寒さは気にならなかったのですが(いたるところ暖房が効いているので)、辛かったのは乾燥です。特に一日目の晩は本当に苦しく、頭の中に、中国語の「潤」の字が絶えず浮かんで来て、眠れませんでした。

 「潤」というのは文字通り、潤す、という意味ですが、「潤喉」「潤膚」だけでなく、「潤肺」「潤腸」のように、内臓を潤す、という、日本人にはわかりにくい表現もあります。

 しかし、この晩の息苦しさは、「潤肺(肺<のどや気管支も含む>に潤いを与える)」という意味をつくづく知らしめてくれました。水やお茶は、一時的にのどの渇きを癒してくれるにすぎません。どうしたら楽になるのか、身体が欲しているものは何か、頭で考えるのではなく、身体に直接問いかけ、イメージしてみます。とりあえずホットミルクを思いつき、飲んでみたら何となく落ち着いたのですが、それでも身体の芯まで潤った、という感覚は得られませんでした。牛乳の粒子が大きすぎて、細胞の中に入って行かない、そんな感じがするのです。

 夫にそう話したら、「ようやくキミもわかったか」と言われてしまいした。うちの夫は日本が大大大好きな香港人ですが、日本人の乾燥に対する鈍感さだけは耐えられないようで、「だから日本人は歳をとるとシワっぽくなる」というのが持論です。皮膚の表面だけを化粧水やクリームで保湿するだけではダメで、身体の中が潤っていなければ、老化が早く進む、と主張します。

 香港には「滋潤」という概念があります。

 例えば、日本人は鶏手羽をそのまま食べて、「これでお肌がぷりぷりに」と考えます。香港でもゼラチン質が肌にいいことは知られていますが、「滋潤」というのは、皮をはいだ丸鶏を長時間煮込んだスープを飲んで初めて得られるものです。じっくり煮込んで栄養が溶け出した水分が、身体のすみずみまで行き渡り,細胞がふっくらと潤って、結果的に肌に弾力を与える、そんな食べ方をとても大切にしています。

 

 

 今回のレシピは、近所の甘味屋で見つけた冬限定という「滋潤」デザートです。丸鶏や豚足を煮た濃厚なスープが「飲む美容液」なら、これはさしずめ「飲む化粧水」でしょうか。

 腎臓を強くし、強壮効果があるという栗に、「潤肺」の働きをする百合根と白キクラゲ(雪耳/シュッイー)を合わせます。滋養のあるものを食べてエネルギーを蓄え、乾燥から身を守る、という、香港の正しい冬の過ごし方にぴったりのデザート。百合根は、真空パックされた新鮮なものが、スーパーで手に入ります。

 さらに加えるのが、血行を促すという玫瑰花(ムイグヮイファー/ハマナス)。華やかな花の香りと素朴な栗の風味がよく合うのは、意外な発見でした。乾燥した玫瑰花は、乾物屋や中国茶屋で売られています。

 この甘いスープをひと口飲んで、「あぁ染みる」と感じたら、「滋潤」が理解できた証拠です。もうシワっぽいなんて言わせません。(2010.1.23掲載)

 

<栗子百合玫瑰煲雪耳 ハマナス風味の栗と百合根と白キクラゲの甘いスープ>

材料(4人分):

栗(鬼皮をむいたもの) 300g
白キクラゲ 25g
百合根(一枚づつはがしておく) 1個(約40g)
玫瑰花 5g
氷糖(ビントン/氷砂糖) 60g
水 1500cc

 

作り方:

1.栗を熱湯(分量外)で15分間ゆで、渋皮をむく。
2.雪耳を水(分量外)に浸し、柔らかくなったら、一口大に切る。
3.深鍋に水を入れ、沸騰したら栗を入れて、軽くふたをし、弱火で1時間煮る。
4.雪耳を加え、さらに30分煮る。
5.百合根と玫瑰花を加え10分間煮込んだら、氷糖を加え、溶けたら、できあがり。

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