レモン風味の魚の甘酢煮

Categories 香港味探検
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 このレシピを読売新聞で紹介したのは、2003年、ちょうど香港で非典型肺炎(SARS)が流行の兆しを見せ始めていた頃でした。その少し前、酢が肺炎の感染を抑える、という噂が流れ、大勢の広州市民が食料品店に殺到し、それを聞いて、あわてて酢を買いに走った香港人も少なくありませんでした。先日の塩買い占めのニュースを見ていて、あの時の騒動を思い出しました。

 

 その後、SARSは沈静化するどころか、ますます猛威を振るい、大騒動へと発展していきました。

 

 今回の日本の大災害とは、内容も規模も全く異なりますが、SARSも本当に恐ろしかった。特効薬のない伝染性の病気だったので、このまま感染が広がり続け、香港はもうダメかもしれない…と、多くの人が思いました。

 

 でも、ご覧のとおり、SARSは収束して、香港は今日も元気です。渦中にいる時は全然見えないけれど、出口は必ずあるんですよね。

 

 そしてその後の社会は、もっと良くなる。

 

 香港でいえば、SARSを境に、香港人の衛生観念が格段に向上しました。「清潔にしないと死ぬかもしれない」というのが、よほど衝撃的だったのでしょう。特にトイレは見違えるほど、きれいになりました。
 最近香港にいらした方には想像がつかないでしょうが、以前の香港のトイレといったら、それはそれはものすごくて(具体的には書けません…)。外出したらホテルのトイレしか入れない(泣)、という日本人が大勢いました。でも今は、ショッピングセンターやレストランのトイレにも清掃係の人が常駐していて、特に抵抗なく使えますよね。

 

 大きな災難から立ち直るには時間がかかるでしょう。でも、そこに生き続ける人がいる限り、必ず再び立ち上がるはず。そこで暮らす人々の力を信じようと思います。

 

   *    *    *    *    *

 

 これが新聞に載る頃には一段落していることを願っているのですが、今、世間を騒がせている肺炎の流行、本当に怖いですね。その前に起きた広州の肺炎騒ぎのように、結局大したことなく終わってくれればいいのですが…。

 広州の肺炎騒動では、病原菌の繁殖を押さえる働きがあるとして白醋(バッチョウ)が一躍脚光を浴びたのは記憶に新しいところです。

 白醋は米を原料にした無色透明のお酢で、中国にはその他、色の黒い「鎮江香醋」や赤い「大紅浙醋」などがあり、どちらかというとこれら黒醋や紅醋の方が有名です。

 というのも黒醋や紅醋は酸っぱいだけでなく独特の風味があり、それを生かした名物料理もあるのですが、白醋にはこうした強い個性がありません。さらに言うなら、日本の米酢のようなうま味やまろやかさもなく、ホワイトビネガーほどキリッとクリアな酸味でもない…。中途半端、と言ってしまっては身もフタもないのですが、まあ、必ず常備しておきたい調味料というわけではありません。

 というわけで我が家にも白醋がなく、広州の肺炎騒動の時にはどうしようかと思ったのですが、値段が十倍以上に跳ね上がった白醋をどうしても買う気にはなれず…。あの時、大勢の人が白醋を買いに走ったわけですが、あの大量の酢は今ごろどうしているのでしょう。

 酢豚のあんである「糖醋汁」という甘酢を作る時に使ったり、パリパリとした焼き上がりにするため、仔豚や鷄の丸焼きを作る時、麦芽糖と白醋を混ぜたものを皮の表面に塗るなど、私が知っている白醋の使い道はこの程度だったのですが、ある香港人の奥さんが魚を白醋で煮る食べ方を教えてくれました。それが今回ご紹介する「檸檬煎醋魚」。さわやかな酸味で食が進むひと皿です。

 白醋が魚の生臭さを消すので、さっと蒸しただけで食べるにはちょっと…という鮮度の魚でもおいしく食べられます。脂が多い魚の方が合うので今回は烏頭魚(ぼら/ウータウユー)を使いましたが、さんまやいわし、さばなどでもおいしくできるのではないでしょうか。その奥さんは「魚だけでなくスペアリブも合いそうだ」と言っていました。私も今度試してみようと思っています。(2003.3.29)

 

<檸檬煎醋魚 レモン風味の魚の甘酢煮>

 

材料(4人前):

烏頭魚(うろこと内臓を取り除いたもの) 1匹(約450g)
塩 小さじ1/2
しょうが(せん切り) 10g
にんにく(みじん切り) 2かけ分
レモン(スライス) 5枚
水 100cc
A濃口しょうゆ(生抽/サンチャウ) 大さじ1
色づけしょうゆ(老抽/ロウチャウ) 大さじ1/2
白醋 大さじ4
砂糖 大さじ2
長ねぎ(青い部分。せん切り) 少々
油 少々

 

1.なべに油を入れ熱し、塩を振り入れたら、烏頭魚を入れ、強めの中火で表面を焼く(なべに対し魚が大きすぎる場合は2つに切ってもよい)。
2.魚の表面がきつね色になったら、しょうがとにんにくを加えて(最初から入れると焦げるので)、軽く炒め、皿に取り出す。
3.空いたなべにレモンと水を入れ、煮立ったらAを加え、再び煮立ったところで2の魚をなべに戻す。
4.ふたをして弱めの中火で煮込み、水分が1/3くらいになったら長ねぎのせん切りを加え、ひと混ぜしたら、皿に盛りつけ、できあがり。
*酢で煮込むので、なべは鉄やステンレスではないものが適しています。

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