香港風おでん

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 車仔麺(チェージャイミン)という麺料理があります。もともとは移動式の屋台で売られていた食べ物で、車仔麺が生まれたのは1950年代。世界大戦と中国の内戦が終わって間も無く、多くの中国人が大陸から香港に流れてきました。当時は香港も貧しく、仕事にあぶれた人たちが、屋台を引くようになったケースが多かったようです。安い屋台の麺は、またたく間に人々の心をつかみました。

 車仔麺の屋台には、四角い仕切りのある鍋が取り付けられ(日本のおでん鍋にそっくり)、それぞれに異なる具が煮えています。麺用のスープは別にあり、麺をゆがいて碗に入れたら、具を乗せ、スープを上からかけてできあがり。値段は、上に乗せた具の種類の数で決まります。

 車仔麺では麺も自分で選べるのですが、他の麺料理ではあまり見かけない麺が食べられます。油麺、幼麺、粗麺という中華麺で、違いは太さ。油麺が一番細く「そうめん」サイズで、粗麺になると「細うどん」になり、幼麺はその中間。ちなみに「油麺」と「幼麺」はどちらも「ヤウミン」と発音するので(ヤウの音の高さが若干異なる)、私はいつも、注文がうまく通じるかどうか、ドキドキしてしまいます。

 衛生上の問題から、現在の香港では移動式の車仔麺は姿を消し、店で食べられるようになりました。人々の生活は豊かになり、小ぎれいな店が増えた香港ですが、車仔麺の店は、相変わらず簡素でこじんまりとした造りが多いような気がします。麺の上に乗せる具も、大根や青菜、魚のすり身や、牛、豚の内臓系が多く、どれも廉価なものばかりで、高級食材が乗ることはありません。いつの時代でも庶民の味方である車仔麺の人気は根強く、多くの店が今も繁盛しています。

 さて、今回のレシピは、そんな車仔麺の上に乗せる具を集めた、香港風おでんとも言えそうな、車仔煲。どれも車仔麺の代表的な具で、大根や魚蛋(ユーダーン/魚のつみれボール)、猪皮(ジューペイ/豚の皮)、猪紅(ジューホン/豚の血を固めたもの)、魷魚(ヤウユー/スルメを戻したもの)など、全て街市で手に入ります。ダシも兼ねて入れた鶏の手羽中は、ささやかな贅沢品。今の車仔麺ではよく見かけますが、昔は、肉のほとんどついていない手羽先の部分を使っていたのだとか。

 味付けに使った柱侯醤(チューハウジョーン)、磨豉醤(モーシージョーン)は、共に大豆を原料にした中国風の味噌で、煮込み料理に入れると、いかにも中華らしい深いコクが生まれます。(2009.1)

 

<車仔煲 香港風おでん>

材料(4人前):

鶏手羽中 10本
大根(皮をむいて、一口大の乱切り) 450g
猪皮 300g
魷魚 350g
猪紅 300g
魚蛋 200g
しょうが(薄切り) 2片
長ねぎ(白い部分をみじん切り) 大さじ1
A水 約500cc(ひたひた程度)
 柱侯醤 大さじ1
 磨豉醤 大さじ1/2
 しょうゆ 大さじ1
 砂糖 大さじ1
 塩 小さじ1/2
油 少々
ごま油 少々
青菜 少々
長ねぎ(せん切り) 少々

 

作り方:

1.たっぷりの湯(分量外)に手羽中を入れ、アクが浮いてきたら湯を捨て、流水でよく洗う。
2.大根を水(分量外)から下ゆでしておく。
3.猪皮、魷魚は、熱湯(分量外)でゆがいておく。
4.土鍋に油を熱し、しょうがと長ねぎを炒めていい香りがしてきたら、Aを加え、煮立ったところで、鶏手羽中、大根、猪皮、魷魚、猪紅、魚蛋を入れ、弱めの中火で、大根が柔らかくなるまで煮る(できれば一晩おくと、味が染みてよりおいしくなる)。
5.食べる直前にごま油をたらして香りをつけ、青菜を加えてしんなりとしたら、上に長ねぎを散らして、できあがり。


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