皇帝菜のにんにく入り煮浸し

Categories 香港味探検
0
Tags


 今回は、新顔の食材の登場です。

 今年の初め、火鍋レストランで「今イチ押しの青菜」と薦められて食べたのが、この皇帝菜。見た目は春菊そっくりで、ほのかに春菊特有の香りもするのですが、茎の部分にかすかなぬめりがあって、噛むと小気味よいキュッキュッとした歯ごたえがあります。おそらく春菊の一種には違いないのでしょうが、香りよりも、歯触りを楽しむ野菜という印象。春菊のあの強い香りが苦手な人は、すき焼きの具に皇帝菜を試してみてはいかがでしょうか。

 
 皇帝菜という名前ですが、中国では、皇帝が好んで食べたというエピソードが残されている食べ物には「皇帝」の名をつけることがしばしばあるようです。中には「これは皇帝に献上するにふさわしい」と生産者が勝手に判断して命名する場合もあるのだとか。中国ではすでに、「貢菜」という野菜が別名「皇帝菜」として流通しているのですが、これは日本で「山くらげ」と呼ばれる漬け物のこと。そういうわけで日本でも「山くらげは、中国語で皇帝菜」と知られているようですが、今回の春菊似の皇帝菜は全くの別物で、ちょっとややこしいですね。

 この皇帝菜、今年の初夏の長雨の影響を受けてしばらく香港の市場から姿を消していましたが、最近になって再び見かけるようになりました。火鍋の季節も近づいてきたことだし、楽しみです。我が家は去年はずっと、「麦茶の香りがする」油麦菜(ヤウマッチョイ)を火鍋の定番の具にしていましたが、今年は油麦菜と皇帝菜が交互に登場することになりそうです。

 香港は青菜の種類が豊富で、油で炒めただけでもおいしいものですが、皇帝菜はからっと炒めるより、いわゆる「煮浸し」にした方が、独特の歯ごたえを楽しめると思います。スープは市販のもので十分で、ポピュラーなチキンストック(鶏湯)でもよし、魚のストック(魚湯)でもよし、あるいは市販の濃縮火鍋スープ(最近いろんな種類が出始めましたね)でも結構、お好みのものをお使いください。スープとして飲むより若干濃いめに塩味を付けるのがコツです。

 中国料理では、調理の最初に「料頭」と言って、しょうがやにんにく等の香味野菜を炒めて香りを付けますが、野菜料理でも、「この野菜はしょうが、この野菜にはにんにく」という常識のようなものがあります。例えば、白菜やキャベツ、瓜類などの淡色野菜はしょうがで、青菜のように色の濃い野菜はにんにくを合わせることが多いようです。皇帝菜にもにんにくの香りがよく合うので、今回は粒のまま入れてみました。

 この「煮浸し」という方法はとても便利で、私のような素人の腕でも、それなりにおいしく仕上がってしまいます。もともと中国の野菜は多少火が通り過ぎても大丈夫で、むしろ、少しくたっとしたくらいの方が味が染みておいしいので助かります。日本で「野菜炒めはとにかく手早く!」と、あせりながら必死にフライパンと格闘していたのが、すっかり遠い昔になってしまいました。(2008.10)

<蒜香上湯皇帝菜 皇帝菜のにんにく入り煮浸し>

材料(4人前):

にんにく 10粒
皇帝菜 450g
スープストック(市販のもの) 300cc
塩 適宜
油 少々

作り方:

1.中華なべに油を熱し、にんにくを薄いきつね色になるまで、弱火でじっくりと炒める。
2.にんにくを取り出してから火を強火にし、皇帝菜を入れて軽く炒めたら、スープストックとにんにくを加える。
3.皇帝菜が柔らかくなったら(途中でふたをしてもよい)、味を見て、塩で調整する。
4.スープごと器に盛りつけ、できあがり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>