利苑粥麺専家の「魚のお粥」

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 銅鑼湾(コーズウェイベイ)のそごうデパートの真裏、という一等地で、40年以上商売を営んでいる麺粥屋。以前、この近所に住んでいた時は、ずいぶん通いました。注文するのは大抵、ワンタン麺。そして時々、魚のお粥。

 私はあまりお粥が好きではありません。気が向いた時に、「たまには、お粥にでもするか」という程度の消極派なので、ガイドブックに載っているようなお粥の有名店には行ったことがありません。

 そんな私が選ぶお粥ですから、はたしてどの程度のレベルなのか、自分でもわかりませんが、少なくともここのは「結構おいしい」と思い、充分満足しているので、わざわざ他の店まで足を運ぶことがないのです。

 この店の魚のお粥、鯇魚の脂の乗った腹の部分を骨ごとぶつ切りにしたものが入っています。一見するとわかりませんが、鯇魚の他に、せん切りのレタスとしょうががごっそり入っていて、それが嬉しい。この、具沢山、が、お粥好きでもない私の心を引きつけるのでしょう。

 鯇魚は淡水魚で、少々泥臭さがあるので、まずテーブルに備え付けの白こしょうを少量振りかけます。それからおもむろに、レンゲで碗の底に沈んだレタスとしょうがをすくい、粥の熱がよく回るように、全体によく混ぜます。

 ここのお粥も典型的な広東式で、米粒の姿は全くなく、クリームのようです。お粥好きの人なら、まず、このとろりとした粥の部分から味わうのでしょうが、私は、最初に、分厚い魚の身をパクリ。そして、少ししんなりしたレタスとしょうがを食べて、口の中をさっぱりさせます。その繰り返し。具から先に行ってしまうあたり、私は真のお粥イーターではないのでしょう。

 具をあらかた食べ尽くしてからお粥を食べ始めるのですが、その頃には、骨からはずれた魚の身の小片が粥の中に散らばって、お粥にも魚の味がしっかり移っています。魚の濃い味がするお粥を最後にすすって、ごちそうさま。結構おいしいと思うんだけれどなあ。

 食後に冷たい紅豆沙(あずきのお汁粉)を注文するのも、この店の楽しみのひとつ。なぜ、麺粥屋に紅豆沙があるのか? しかも冷たいし…(温かい紅豆沙は無し)。

 不思議な組み合わせですが、昔からずっとこうなのだそうです。


 

鮮鯇魚腩粥(30ドル)

利苑粥麺専家 銅鑼湾駱克道539號

One thought on “利苑粥麺専家の「魚のお粥」

  1. Noriko on

    このお店は、2013年1月末をもって閉店しました。

    なんでも、その後に入るテナントは、月100万香港ドル(約900万円)の賃貸料を払うことに合意したそうです(香港のゴシップ記事より)。

    この店の近所で生まれ育ったうちの夫が言うには、この店が開店した当時は、まだそごうも無く、銅鑼湾の中心地ではなかった。この場所が一等地になった80年代から今までずっと立ち退きをすることなく営業を続けられてきたということは、この店の店主自身が大家に違いない、と。

    毎月100万ドルも家賃収入があったら、毎日朝から晩まで麺粥を作って売る気なんてなくなるのでしょうね。

    寂しいけれど、This is Hong Kong.
    香港の名店が、またひとつ、姿を消しました。

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