維記咖啡粉麺の「豚レバーと牛肉のインスタントラーメン」

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 以前、「香港味探検」でインスタントラーメンについて書いた時、ラーメンのおいしい店について調べました。その時、ある本に紹介されていたのが、この店です。創業1957年の老舗で、深水埗(サムソイポ)の名店として位置づけられているようです。そういうわけで、ずっと気になる存在でした。

 ようやく、深水埗に行く機会があったので、さっそく、この店の看板メニューである「豚レバーと牛肉のインスタントラーメン」を注文してみました。ふつう、香港の麺屋で「麺」というと、卵麺を指すことがほとんどなのですが、この店では「公仔麺(インスタントラーメン)」のことを言います。米粉(ビーフン)や通粉(マカロニ)、意粉(スパゲッティ)に変えることもできます。

 さて、運ばれて来た麺ですが、写真でもおわかりのように、表面に大量のツブツブというかザラザラが浮かんでいます。レバーや牛肉から出た血やアクが固まったもので、見た目的にも今ひとつなのですが、実はこれが、このラーメンの最大のウリ。本にもそう書いてあって、「肉汁が固まって、栄養満点!」と。

 レバーは薄く切ってあって、一見、牛肉と区別がつきません。肉の表面をかたくり粉か何かでコーティングしているわけでもないので、ざらっとしているし、特に柔らかいわけでもなく。スープは濃いめのしょうゆ味です。肉の臭み消しのために、大きめのしょうがのスライスが入っていました。麺は柔らかめ。

 私には、おいしい、というより、スタミナつきそうなラーメンだなあ、という思いが先にきたのですが、うちの夫は傍らで、「うまい、うまい」と涙を流さんばかりに感動しています。「マミーが作る味だ!」とも。

 「えー、あなたのお母さん、インスタントラーメンなんて作ってくれたことあったっけ?」と突っ込みを入れたところで思い出しました。

 私がお産を終えて、アパートに帰って来た日のこと。手伝いに来ていた義母が、「産後は『補血』が大切よ。スープを作ってあげるから、それを飲みなさい」と、自らキッチンに立ってくれました。一体どんなスープを作ってくれるのだろうと見ていたら、小鍋に水を入れ、そこに生の牛ひき肉も加え、箸でかき回してから、強火にかけると、だんだん煮立ってきて、ひき肉から出た血とアクが、ぶわ~っと泡になって吹き上がってきました。すかさず火を止め、しょうゆ(だったか塩だったか)を少量加えて、「はい、できあがり」。

 うっひゃあ~、と思いました。

 どんぶりになみなみと注がれたそれを「全部飲むのよ」と言われた時は、涙目になりましたが、もちろん全部飲みましたとも。嫁ですから。
 香港人のお姑さんを持つ全ての人に伺いたいのですが、これって、一般的なものなのでしょうか。

 しかしまあ、この血とアクたっぷりのスープを「おいしい」と感じるうちの夫が変人でない証拠に、見ていると、他のお客さんも、スープまで飲み干している人がたくさんいます。香港人の琴線に触れる何かが、このラーメンにはある、ということなのでしょう。

 決してまずいわけではありません。なので、深水埗に行ったら、また食べると思います。この街を散策するのは、とてもエネルギーを必要とするので。


 

猪潤牛肉麺(24ドル)

維記咖啡粉麺 九龍深水埗福栄街62號地下


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