ココナッツ風味のもち菓子

Categories 香港味探検
0

 

 以前、九龍塘(カオルーントン)駅の地下鉄から鉄道へ乗り換える通路の途中に小さな売店があって、鶏もも肉のしょうゆ煮など、香港ならではの軽食を売っていました。朝、ここで砵仔糕(ブッジャイゴウ)を1つ買って朝食代わりにするのが、当時、貧乏な留学生だった私の日課でした。

 まだ返還前で、鉄道に乗ると生きた鶏をかごに入れて持っている乗客がいたりして、香港と大陸の空気の違いを、九龍塘で乗り換えるたびに、はっきりと肌で感じたものです。

 最近は、鉄道も地下鉄も、車内の雰囲気はほとんど変わらなくなりました。九龍塘駅の構内もきれいになって、あの売店はもちろんありません。

 砵仔糕を食べるたび、そんな昔(といってもたかだか10数年前ですが)のことを思い出します。砵仔糕の味はどこか懐かしく、郷愁を誘う食べ物のような気がするのです。

 もともと、砵仔糕は、広東の伝統的なもち菓子の1つで、19世紀半ば(日本で言えば江戸時代の終わり頃)にはすでに食べられていた昔ながらのお菓子です。「砵」という小さい碗にタネを流して蒸して作ったので、この名がつきました。

 白砂糖を使った白色と、「片糖」という茶色い蔗糖を使った茶色の2種類があり、今でも下町の小さなもち菓子屋のガラスケースに入って売られています。

 素朴なもち菓子、という形容がぴったりな砵仔糕は、粘米粉(ジムマイファン/うるち米の粉。上新粉)を主体に、糯米粉(ノーマイファン/もち米の粉。白玉粉)や澄麺粉(ダンミンファン)を加えて作ります。

 澄麺粉は、小麦粉から粘りの元であるグルテンを取り除いたでんぷん粉で、日本では浮き粉と呼ばれているものです。

 香港では蒸しぎょうざの皮に使われていますが、日本では和菓子の他に、明石焼きの材料として欠かせないそうで、あのふわふわ感は浮き粉でなければ出せないのだとか。その応用で、たこ焼きやお好み焼きに入れたり、ふわふわのスポンジケーキを作る人もいるそうです。日本人って本当に創意工夫が得意ですね。

 そういうわけで、料理好きな方は、ぜひ澄麺粉を活用してみてはいかがでしょうか。日本で浮き粉を買うよりもずっと廉価で手に入ります。私は街市で、1オンス(454グラム)7ドルで買いました。

 今回作った砵仔糕は、伝統的な白砂糖味にココナッツミルクとエバミルクで風味とコクを加えたものです。砵仔糕としてはやや新しいレシピですが、柔らかく優しい甘さは、相変わらず、素朴で懐かしい味がします。(2009.6)

 

<椰汁砵仔糕 ココナッツ風味のもち菓子>

材料(直径9センチの碗・約10個分):

A粘米粉 110g
 糯米粉 30g
 澄麺粉 30g
ココナッツミルク 100cc
エバミルク 30cc
水 550cc(200cc+350cc)
砂糖 150g
小豆 40g
油 少々

 

作り方:

1.小豆をたっぷりの水(分量外)に1時間浸けた後、柔らかくなるまでゆでておく。
2.ボウルにAを入れ、水200ccを少しづつ加えながらよく混ぜる。滑らかになったら、ココナッツミルクとエバミルクも加えて、よく混ぜる。
3.小鍋に残りの水と砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら2のタネをおたま1杯分加え、手早く混ぜて、とろみがついたら火から下ろす。
4.3を2のボウルに入れて、よく混ぜる(こうするとダマになりにくい)。
5.油を薄く塗った碗に4を入れ、蒸気の上がった蒸し器に入れ、2分経ったらふたをあけ、上に小豆を散らし、再びふたをして20分蒸す。
6.冷めてから、碗のふちに竹串を差し込んで、グルリと回して取り出せば、できあがり。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>