陳漢記の「牛モツ麺」

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 再び、「陳漢記」です。

 ミルクティーのときにも書きましたが、この店は、ちょっとしたところに感心させられることが多く、たとえば、麺。

 盛りつけが、美しいんです。

 最初は気づきませんでした。「他の店よりおいしいね。何が違うんだろう。スープかな。うん、確かにダシがきいている」などと家族で話していたのですが、ある時、注文した「牛モツ麺」が運ばれてきた時に、気づきました。

 あら、きれい。

 牛の内臓が、お行儀よく、麺の上に鎮座しています。もしもこれが適当にどさっと乗せられていたら、ちょっとグロテスクで食欲が半減したかもしれません。

 以来、他の麺も注意して見ていましたが、どれも具が考えて配置されていて、ただ乗せただけ、ではないことがわかります。この店は人気店なので、食事どきはたいへんな混雑なのですが、そんな時でも、きちっと盛りつけた麺が出てくるのです。

 この麺を作っている「厨師」は、ただ者ではない。どんな人なんだろう? 気になって、店の外から厨房をのぞいてみました。香港の麺粥屋というのは、たいてい、厨房が道路に面していて、ガラス張りになっています。

 中年の男性が、麺をゆで、具を盛りつけていました。とても手際がよく、麺をゆで上げると、素早く器に移し、さっとスープをかけ、具を、パパパッと乗せて、勢い余って、具を下にこぼしたりして…!?

 全然、きちんとしてないじゃーん!!!!!

 凝視している私に気づき、「なんでこっち見てんの~? 面白いか~い?」という表情をして、にこにこ笑っています。具を盛りつける瞬間に瞳の奥がキラリと光るような「厨師」をイメージしていたのに、実物は、鼻歌うたいながら作っているようなオッサン…。

 でも、でき上がった麺は、やっぱりきちっとしているんです。面白いもんですね。

 

 というのが、この旧正月までの話。

 正月開けに食べに行き、店に入ろうとして厨房を見たら、あのオッサンがいない。代わりに、もう少し若くて、髪をきちっとなでつけた(あのオッサンは髪がバサバサだった)りりしい感じの男性がいました。

 店のご主人に尋ねたら、「旧正月に辞めちゃったんだよね」とのこと。香港では、旧正月を機に職場を変えるのはよく聞く話ですが、そうか、あのオッサン辞めちゃったんだ…。

 新しい「厨師」の麺を食べてみました。

 味は以前と変わらず、悪くないです。でも、盛りつけが…。適当というか、ゆるいというか、乗せただけ、という印象。ご本人は結構きりっとした見た目なのに。不思議なものです。

 香港のスープ麺なんて、1杯たかだか20ドル前後の、いわば庶民の食べ物。盛りつけなんか気にしたことがない、という人がほとんどではないでしょうか。私もそうでした。でも、盛りつけがいいと、やっぱり2割増しぐらいおいしく感じるものなのですよ。

 というわけで、今回は、「本日のおいしいもの」ではなく、「おいしかったもの」になってしまいました。ごめんなさい。でも、他の店に比べれば、やっぱりおいしいと思うので、これからも通うつもりです。頑張れー、新しい兄ちゃん!

 

 それにしても、もっと写真を撮っておけばよかった。「おっ!?」という感動を、充分お伝えできなかったのが、残念です。


牛什麺(飲み物とセットで25ドル)

陳漢記 大埔運頭街89&91B地下

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