中国風揚げシュー

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 今回は、ひっそりと姿を消しつつある昔ながらのお菓子・沙翁(サーヨン)をご紹介します。

 卵と小麦粉で作った生地を揚げて、フカフカに膨らんだ沙翁は、味や食感は「揚げシュー」や「フレンチクルーラー」にそっくりですが、実は300年以上も昔からあるという立派な中国菓子。

 

西洋菓子と違うのは、油脂(バター)を使わない点で、これは洋菓子の常識では考えられないのですが(油脂を混ぜないとうまく膨らまない、とされている)、沙翁は、ベーキングパウダーや重曹、臭粉(アンモニア臭のする強い膨張剤)、かんすい、あるいは天然酵母などを使って、膨らましています。バターが入っていないので、くどくなく、後口がさっぱりとしていて、卵の風味がよくわかるのが特徴です。

 

 今回は、家庭では強い膨張剤が入手しにくいことと、あまり添加物を使いたくないという理由から、(卵の風味を損なわないよう)バターではなくサラダ油を少量加え、ベーキングパウダーで補う、というレシピで作ってみました。

 沙翁は「冰花鶏蛋球」とも言い、こちらは「冰花(雪のような氷の結晶=グラニュー糖)がかかった鶏卵のボール」ということで、どんな食べ物なのか容易に想像できるわかりやすい命名ですが、では、なぜ沙翁という別名があるのでしょうか。

 沙翁の由来には諸説あって、1つは、フランスの菓子「sabayon(沙巴翁)」から来たというもの。ただし一般的には、「sabayon」といえば、卵と砂糖と洋酒で作った「サバイヨンソース」というクリームを指すので、これが揚げ菓子の由来になったと言われても、ピンときません。

 もう1つは、17世紀中頃に「沙壅」という粉に砂糖とラードを混ぜた食べ物があり、それが原型だからという説。後に、上からかけた白砂糖がまるでお年寄りの白髪のようなので「沙翁」の字に変わった、と言われています。

 余談ですが、私は「沙翁といえばシェイクスピア」だと思っていたので、さすが元イギリス植民地らしい風流なネーミングだなあ、とひそかに感心していたのに、お菓子の沙翁とシェイクスピアが関係しているという資料は全く見つからなかったのでした。残念。

 沙翁は素朴な味わいで、私は結構好きなのですが、濃厚な味や香りの洋菓子に慣れてしまった現代の香港人には、そんな素朴さが物足りなくなってきたのかもしれません。また、洋風のドーナッツがしっかりと市民権を得ている今、沙翁を目にすることが本当に少なくなってしまいました。おそらく近い将来、ごく少数の老舗のパン屋でしか見られなくなってしまうのではないでしょうか。(2008.4掲載)

<沙翁 中国風揚げシュー>

材料(約10個分):

小麦粉 1カップ
ベーキングパウダー 小さじ1/2
湯 1カップ
サラダ油 大さじ2
卵(Lサイズ)  3個
グラニュー糖 適量
揚げ油 適量

作り方:

1.小麦粉とベーキングパウダーを合わせて、粉ふるいでふるっておく。
2.鍋に湯とサラダ油を入れ火にかけ、沸騰したら火を止め、1の粉を一気に入れてよく混ぜ、再び弱火にかけて、全体が一つにまとまるまで、よく火を通す。
3.溶いた卵を少しづつ混ぜていく(始めは分離するが、丁寧に混ぜているうちに、なめらかな生地になる)。
4.揚げ油を低温(160度程度)に熱し、スプーンで、ゴルフボール大の生地を油に落としていく。
5.転がしながら、生地が倍の大きさまで膨れ、うすいきつね色に色づくまで、じっくりと揚げる。
6.キッチンペーパーにとって油を切り、熱いうちにグラニュー糖をまぶして、できあがり。

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